巨人は8日、新たに野球賭博への関与が発覚した高木京介投手(26)をコミッショナーに告発するにあたり「有害行為の告発について」と題した文書を報道陣に配布した。発覚に至った経緯や、高木京の供述内容など、独自の調査結果を公表。高木京が球団の調べに「ウソをつき続けた」ものの、最後は認めて「総額で50~60万円も負けた」などと話していることなどを明らかにした。

 巨人は2月29日に球団職員が週刊文春の取材を受け、翌3月1日から調査を開始した。高木京の野球賭博に関係していた人物は、昨年11月の無期失格処分となった笠原と、賭博常習者のB(飲食店経営)。高木京は当初「笠原に名前を貸していただけで、笠原が自分の名前を使って賭博行為をしていた」と否定していた。しかし、この日になって笠原とBから持ち掛けられた作り話だったと告白し、野球賭博を認めた。文書では、高木京の供述内容が詳細に記され、野球賭博を認めるに至った経緯を次のように説明している(要約)。

 ◆始まり 14年の4月下旬で、笠原から持ち掛けられ軽い気持ちで仲間に加わった。笠原が賭けた試合に乗っかる形で、笠原の携帯電話を通じて1試合に10万~15万円ずつ賭けた。その後、5月上旬までの間に3~4回、計8~9試合を対象に賭けた。しかし、総額で50万~60万円も負けたため、それ以降はやめたという。笠原やBから誘いを受けたが、すべて断ったという。

 ◆問題発覚 昨年10月5日に巨人が野球賭博問題を公表した数日後、高木京は、突然、自宅を訪れたBから「高木君のところには、調査が来ることはほぼないから安心して」などと告げられた。その後、Bから「不安なら1度、ミーティングしようか」と言われ、秋季キャンプの前に会った。Bと一緒に来た男性から「何かスキャンダル情報がないか。それがあれば(その情報と交換で)高木君の名前は(もみ)消せる」という趣旨の話をされ「知らない」と答えた。

 ◆口裏合わせ 万が一、高木京の名前が発覚した場合は「(笠原に)名前を貸したことにしておけばいい」と、口裏合わせの相談がなされたという。今月1日から始まった球団による事情聴取にも、Bや笠原とあらかじめ決めていた通り、ウソの説明を行った。

 ◆告白 ウソをつき続けた高木京は3月7日に球団の調べを受けた後で家族に相談。両親から「正直に話をした方がいい」と言われ、親しい知人にも「隠し通してもいいことになるとは思わない」と言われ事実を話すことを決意した。その日の深夜、Bから「名義を貸しただけといって突っぱね続けた方がいい」と言われたが、翌8日に球団に野球賭博を認めた。

 巨人はこうした高木京の供述からコミッショナーに告発することを決めた。ただ、携帯電話の記録など賭けをしていた証拠は「残っているとしても、Bの側にしか残っていません」。また、Bは野球賭博常習者であることが判明して以降、「NPB調査委員会の呼び出しには応じない一方、週刊文春に対してさまざまな情報提供を行っているとみられます」とした。さらに「笠原も当球団の調査への協力を拒んでいます」と状況を説明。「こうした事情から、事実解明の調査が困難を極めていることは付記しておきます」としている。