特大の1発を含む3発で巨人を粉砕した。DeNA筒香嘉智外野手(26)が、プロ9年目で初の1試合3本塁打を放った。初回に3試合連続となる先制2ランをバックスクリーン右に運び、4回の第2打席では右翼バルコニー席上の広告を直撃する推定飛距離140メートル弾。9回には右中間へ11号ソロを放り込んだ。巨人3連戦で3戦連発、計5本塁打。本塁打王争いでは3位に浮上し、復調を強烈に印象付けた。

 打った筒香が弾道を見失った。4回、巨人野上の初球、内角球を捉えた打球は伸び、視界から消えた。「最後見えなくなったんで、どこまで飛んだのか、わかんないですよね」。右翼席の巨人ファンの上を通過した打球は「NABEKAI.」の壁面広告の最上部を直撃。140メートル弾はそのままバルコニー席に落下した。

 初回の3試合連発に続く2打席連続の1発。覚醒した筒香はもう誰にも止められない。9回には田原のシンカーを右中間席へ11号ソロ。1試合3発はプロ9年目で初めてで、横浜高時代は「あったかもしれないけど分からない」と記憶にはないという。5年連続で6度目の2桁本塁打に乗せ、お立ち台では「打てるだけ、打ちます!」と珍しく大量生産を宣言した。

 18日からの巨人3連戦で計5発と量産態勢に入った。1戦目でオープンスタンスにして14試合ぶりに本塁打を放った。その翌日の19日、頭と体の感覚を確認した。打ちにいくとき、体が前に流れて突っ込みすぎていたことに気づいた。「いいときの感覚が大事。忘れないよう、もっと感覚が良くなるように」。試合前のフリー打撃では最後のセットは7本すべてスタンドイン。負の連鎖を乗り越え、正の連鎖を生み出した。

 食事中でさえ打撃感覚の声に耳を澄ます。「日常生活のちょっとしたときに『これだ』と気づくときもあるんです」。はしを持つ動き、スプーンですくう動作…。1度気づけば即行動に移す。早々と食事を済ませてバットを振る。「いい感覚はいつも得られるものじゃない」。本人にしか分からない感覚を積み重ね「今は打つ前にボールを捉えられている」と、独特の表現で好調の理由を明かす。

 15日の阪神戦で4番に戻ってから敵地での6連戦を4勝2敗で終え、明日22日から本拠地で中日3連戦を迎える。横浜では今季初めての4番。「4番が打てばチームは絶対に勝てる。勝たせられるようにやっていきたい」。研ぎ澄まされた感覚を内に秘め、4番筒香がホームに帰ってくる。【栗田成芳】

 ▼筒香がプロ入り初の1試合3本塁打。DeNAで1試合3本塁打は16年4月9日ロペス以来だが、巨人戦で記録したのは03年5月23日中村、04年5月18日内川に次いで球団史上3人目。2人は横浜スタジアムで打っており、ビジター巨人戦で1試合3発は球団史上初。1試合2本以上のマルチ本塁打は通算20度目で、DeNAで20度以上は田代27度、村田23度に次ぎ3人目。

 ▼筒香の3戦連発は17年6月25~28日以来6度目で、3試合で5本以上は14年7月14~16日(1本→2本→2本)16年7月19~22日(2本→2本→2本)に次いで3度目。巨人3連戦で5本は77年8月2~4日マニエル(ヤクルト=2本→1本→2本)以来。日本人選手では73年4月24~26日田淵(阪神=1本→1本→3本)以来で、DeNA選手が巨人3連戦で5本は初。