<西武0-0オリックス>◇13日◇西武ドーム

 夏は雄星の季節だ。09年の甲子園のヒーロー西武菊池雄星投手(23)が、自分の殻を打ち破った。6月14日以来の白星はお預けとなったが、9回無失点。奪った三振が自己最多8個を大きく上回る14個。04年9月に松坂が作った球団記録の16個には及ばなかったが、速球派の面目躍如だった。

 圧巻は8回だ。2死から平野恵と安達を歩かせ一、二塁のピンチを招く。バトラーに対しカウント2-2からの5球目。内角高め148キロ直球で空振り三振に斬ると、クルッと1回転しながらガッツポーズを見せた。「いつも四球で崩れるので。あそこは三振を狙いました。チームが今の位置にいるのは僕が8敗しているから。これからも続けて信頼を勝ち取りたい」と、今季最長イニングを投げ充実した表情を見せた。

 夏の甲子園大会真っ盛り。中継を見て感じるものはある。09年夏の甲子園では花巻東のエースとしてベスト4へ導いた。「1試合も負けられないという気持ちを思い出します。でももう5年前なので」と、振り返るより今を見詰めるようになった。それは課題を克服すること。これまで1試合平均5・65個の四球を出し失点につながった。この日は4つ出したがすべて2死からで、無失点で切り抜けた。「気持ちに波風立たないように、静かに集中しました」。5年がたち成長した姿があった。【矢後洋一】