26日に放送されたフジテレビ「フルタチさん」(日曜午後7時~9時)の視聴率です(ビデオリサーチ調べ、関東地区)。昨年11月の番組スタート以来最低となりました。

 「フルタチさん」は、日本テレビの牙城である日曜夜を崩すべくフジテレビが立ち上げた秋改編の目玉番組。12年ぶりにバラエティー畑に戻ってきた古舘伊知郎さんをMCに据え、編成部長が「私のテレビ人生をかける」とスタートさせました。初回は8・2%でしたが、3回目で5・8%に急落。今年も4~6%台を推移していました。一方、26日の日テレは「ザ!鉄腕!DASH!!」19・1%、「世界の果てまでイッテQ!」19・9%。逆に活気づかせる結果となっています。

 「世の中のひっかかること」を掘り下げるのが番組コンセプト。最初のうちは2時間の中で「歴史教科書はどう変わるのか」「古舘さんのおしゃべり脳の医学的分析」など4~5本のテーマを取り上げていましたが、最近は「間違った日本語」のような、よくあるテーマで2時間引っ張るなど、はた目にもしんどそうです。

 社員を集めればできる、内輪な企画も増えました。「間違った日本語」では局アナがひな壇にに並び、互いを敬称で呼び合いながらプロ意識をほめ合ったり。26日の放送では、「国会」をテーマに政治部記者たちが出演。視聴者に向けたテロップに「フジテレビが誇る政治部の皆さん」と敬称付きで紹介されました。米国とメキシコの国境リポートでは、「温室育ち」の新人ディレクターに焦点を当て「天然ですので温かい気持ちで見守っていただけると幸いです」のテロップが連発されました。

 裏の「イッテQ!」は、何もかもが壮絶すぎて笑ってしまう「宮川探検隊」第2弾。タイのジャングルに眠る黄金洞窟を撮影する3日間の探検で、魔よけの臭い水を頭からかけられたり、タランチュラに追いかけ回されたり、向こう岸まで川を渡ったり、たどり着いたら全然黄金じゃなかったり。圧倒的な現場感と、見たことない3日間の冒険をわずか30分に凝縮する横綱相撲。これだけやったからこそ、まさかの結末に「一番の被害者は我々」と言い放つテロップ芸、ナレーション芸に大笑いしました。視聴率は19・9%。やはり、数字は正直です。

 「フルタチさん」も、面白い回もあるんですよね。大変貌を遂げる渋谷を古舘さんが実況した回とか。宮下公園や、渋谷川など、今ある風景のビフォーアフターがよく分かるCGと、「交通と流通の3層構造」とか「スミレやレンゲの花とたわむれることは2度とないのであります」みたいな古舘さんの実況の相性が抜群で、見たことない感動がありました。古舘さんの個性が発揮されない内輪ネタでは、番組がコンセプトごと沈む印象。2時間はいかにもしんどく、個人的には1時間でしっかり見たい気もします。

【梅田恵子】(B面★梅ちゃんねる/ニッカンスポーツ・コム芸能記者コラム)