FC町田ゼルビアを子会社化した、サイバーエージェントの藤田晋社長(45)は、今季最終戦となった東京ヴェルディ戦後、囲み取材に応じ「まず、J1ライセンスを取得するためのハード面を整えるのに専念する」と、19年のJ1ライセンス取得の壁となっている、天然芝の練習場とクラブハウスの整備に注力する考えを示した。

藤田社長は、練習場の用地など具体的な部分が見えているのかと聞かれると「我々の中では何とかなると思う。メドが立ちつつある。元々、我々が参画する前から準備されていたところもある。資金面の問題だけであれば、クリアできる」と語った。場所については「勝手に言うと怒られるから」と明言は避けたが、町田市内かと聞かれると「もちろんです」とだけ口にした。

藤田社長は10月1日に都内で会見を開き、町田の運営会社・株式会社ゼルビアが第三者割当増資で発行する株式を引き受け、8割の株を取得し、子会社化すると発表。町田が新たに発行した普通株式2万2960株を1株につき5万円、総額11億4800万円で引き受けるとし、同16日の町田の臨時株主総会と取締役会で承認された。

藤田社長は来季に向けての話の中で、戦力の補強についても言及し「監督と1度、どのように考えているかお話ししたい」と相馬直樹監督(47)と会談する意向を示した。戦力補強については、唐井直GMと丸山竜平強化部長に任せるとした上で「口を出すとか、変なのではない。監督も、今までも厳しい経営の中で勝てるチームを作ってきたところもあると思う。やりたいことが、どういうことかを聞いてみたい」とも語った。その一方で、相馬監督の去就についても「監督も、ちょっと含めて…」と、来季に向けてクラブと1度、しっかり話をしたいという考えを示した。

藤田社長にとって、東京Vは2006年3月当時、東京ヴェルディ1969と名乗っていたクラブを運営した、日本テレビフットボールクラブと業務・資本提携を結び日テレに次ぐ2位株主となったものの、成績低迷などで2年で撤退した因縁の相手だった。あと1点取って勝てば優勝が決まったが、引き分けて4位に終わった一方、東京Vは負ければJ1昇格プレーオフ圏外に落ちるところだっただけに、試合後は複雑な表情を浮かべた。同社長は「昔、我々が資本参加し、スポンサーもやっていたので、元カノ(元彼女)に会ったような…どうしてもヴェルディの応援が耳にきちゃう」と苦笑いした。

町田は、ホームの町田陸上競技場の収容人数が1万328人で、1万5000席以上に設定されている施設基準に満たない上、練習施設の基準に達せず今季はJ1ライセンスが交付されなかった。ホームタウンの町田市は、観戦席を7000席増設する工事を19年に着工、21年のしゅん工を目指し動いている。【村上幸将】