宇都宮ブレックスのエース、比江島慎が完全復活した。

第2クオーター(Q)残り1分49秒、相手守備のわずかなスキを見つけた比江島は、ドリブルを一気に加速させてゴール下に飛び込む。キレのあるステップで相手をかわし、瞬く間にレイアップシュートを決めた。

第3Q終了間際には2回連続してオフェンスリバウンドを獲得。3ポイントシュートも4試投できっちり2本決め、合計15得点。スタメンこそ譲ったが、20分以上躍動し、完全復活を証明した。

「思ったより動けたかなという感じです。ディフェンスでのちょっとした感覚、試合勘はまだまだですが」

1週間前の10日、ホーム群馬戦で左膝を強打した。しばらく動けないほどで、ブレックスアリーナ宇都宮は凍り付いた。13、14日の北海道戦は、遠征に帯同しながらいずれも欠場。どこまで回復しているか、ファンにとっては気が気でなかった。

「試合の前半はソフトに入りすぎてしまった。でも後半はしっかり集中してゲームに入ることができた」

第4Q残り2分を切って、4点差に迫られた時には、再びドライブインして突き放す。勝負どころを見極める余裕もあり、メンタル的にも心配なさそうだ。

レギュラーシーズンは残り6試合。今週末は2ゲーム差で2位につけるアルバルク東京との対戦だ。2連勝すれば、3シーズンぶりの地区優勝が決まる。

佐々宜央(さっさ・のりお)ヘッドコーチは「チャンピオンシップのセミファイナルをホームでやりたい」と、ここで決着をつけたい考えだ。比江島も「アルバルク東京戦の前に(自分が)復帰できたのは大きい」と意気込む。大一番を迎える準備は整った。【沢田啓太郎】