イケメン・ジャンパーが世界一の跳躍でメダルをゲットだ。日本トランポリン協会は20日、都内でロンドン五輪代表および代表候補選手の公開試技会を開催。世界ランキング1位で五輪男子代表の伊藤正樹(23=金沢学院大ク)が、決勝でメダル級の61・210点の高得点で1位となった。世界一高く跳ぶ持ち味の超ド級の跳躍で、ロンドン五輪でもメダル獲得を狙う。

 高く、さらに高く伊藤が跳ぶ。ビル3階分、8メートルにも及ぶジャンプで、伊藤が決勝で61・210点の高得点を出した。世界大会でメダル圏内といわれる61点の大台に乗せ、「61点台なら(五輪での)メダルはほぼ大丈夫」と、大きな手応えをつかんだ。

 予選の規定演技、自由演技の合計点は、北京五輪代表の上山に次ぐ2位。しかし、決勝は持ち点なしの一発勝負。「攻めた」と、1本目の技から持ち味の高さを最大限に生かした。最後の10本目の技まで、ほとんど高さを落とさず、跳躍時間点は18・410秒。自己ベストという18・500秒に、わずか0・090秒差だった。

 昨年11月の世界選手権で銅メダルを獲得。ロンドン五輪代表一番乗りを果たした。その時の得点は60・684点。この日、その銅メダル得点を上回り、同選手権銀メダルの董棟がマークした61・460点に、0・250点差までに迫った。「これに、まだ上積みできる。その点でメダルの色が変わる」。

 北京五輪代表を逃した伊藤に幸運が巡ってきた。難度点と演技点の加算だった得点に、2010年から跳躍の滞空時間(つまり高さ)を点数に換算する跳躍時間点が加わった。「小さいときから、高く跳ぶことは得意だった」。昨年の世界選手権でも、前半3本の跳躍の高さでは、誰にも負けなかった。通常の選手よりも、30センチは高く跳び、その高さは8メートルを超えると言われる。

 7日に体操の世界王者、内村航平らと仙台の被災地を訪問した。初めて内村と長い会話をし「刺激になった」。同年齢で共通項は多い。内村が小さい頃、ピンクパンサーの人形を使って技をイメージした。伊藤もウルトラマンの人形を回しながら、難度の高い技で世界を夢見た。「メダルを取って体操のようにメジャーにしたい」。伊藤の大きな夢が、花開く時が迫っている。【吉松忠弘】

 <伊藤正樹(いとう・まさき)>

 ◆生まれ

 1988年(昭63)11月2日、東京都生まれ。4歳でトランポリンを始め、高校は環境の整った石川・金沢学院東高へ進学。

 ◆世界ランク

 07年に世界1位となった上山容弘に続き、09年に日本人2人目の世界1位に。現在も同位を維持。

 ◆高所恐怖症

 高いところに跳ぶのに、観覧車が苦手。下が透けた高い所だと足がすくむ。飛行機も嫌い。

 ◆300万円

 昨年、マルハンが主催したマイナー競技の選手を支援するオーディションで優勝。協賛金300万円をゲットした。

 ◆主な成績

 08~10年全日本選手権個人3連覇。11年世界選手権個人銅メダル。

 ◆サイズ

 167センチ、62キロ。