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第369回    ユンソナ  
2003.07.06付紙面より

ユンソナ
写真=たどたどしいんだけどメチャ流ちょうな日本語で話すユンソナ。またそれで一生懸命しゃべるのがほほ笑ましい。テレビのバラエティー番組でウケる理由がよく分かった
(撮影・小沢裕)

海を越えて来たシンデレラ

 3年前、韓国で約束されたスター女優への道を捨て、ユンソナ(26)は日本語もまったく分からずに日本にやってきた。時間があればひたすらテレビのニュースを見てマスターした日本語で、現在ではドラマからバラエティーまで幅広くこなす。韓国で忘れられてしまう不安もあるが、今が楽しい。「何でもやりたい!」と日本に来てさらにポジティブになったソナは、“印象に残る人”を目指している。


「ソナ」と呼んで

 00年、窪塚洋介と共演した日本デビュー作であるNHKドラマ「もう一度キス」撮影のため来日してから、わずか3年。この間、ドラマで木村拓哉、深田恭子、バラエティーで明石家さんま、ナインティナイン、堂本光一と共演した。大手芸能プロダクション「ホリプロ」に属し、同じ韓国出身の歌手BoAと並び、日本でもすっかりおなじみだ。しかし、来日するまで日本語はまったく分からなかった。今では標準語なら半分は理解できるし、取材は日本語で受け答えする。日記を日本語で必ずつけるほか、家に帰っても、いつもテレビをつけて日本語が耳に入ってくるようにしている。

 ソナ 難しい言葉がたくさん出てくるけど、分からない言葉を覚えることができる。分からなかったら、その場でハングル文字でメモしておく。後で平仮名に直して辞書で調べます。テレビは特にニュースも見ますね。日本の文化や、最近、何が起きたか分かりますね。

 バラエティー番組の共演者には関西系のお笑いタレントが多い。標準語もまだ完全ではないのに、関西弁を話すタレントだとさらに緊張してしまい、聞き取れなくなることもある。

 ソナ 最初、(明石家)さんまさんのしゃべる言葉が全然分からなかったんですよ。しかもハスキーボイスでしょう。余計に聞こえなくて(笑い)。

 ユンソナは「尹孫河」と書く。きれいな川が孫の代まで続くようにとの願いが込められているという。日本では、韓国語でフルネームにあたるユンソナと呼ばれることが多いが、韓国ではいつも“ソナ”だった。

 ソナ “ソナ”と呼んでくれた方が、親しい感じはします。でも珍しく“ユン”と呼ぶ人もいるんですよ。(ナインティナインの)岡村さんは“ユン”って呼ぶの。「ユン、行きなよ、ユン」って(笑い)。


女優…遠い夢と

 父親の仕事がうまくいかず、家は貧しかった。弟2人を大学に行かせなければならないため、両親には高校を卒業したら、会社員になって家計を助けてほしいと思われていた。

 ソナ 中学3年生まで現代舞踊を習っていたんです。でも舞踊は衣装代、レッスン代がかかるから、やめなって言われて。髪を長くのばしていたけど、やめた時、ばっさり髪を切ったの。すごい泣きました。

 好きな踊りができると思い、高校に入学してからミュージカルのクラスに入った。踊りに自信があった。

 ソナ その時から歌も踊りもやりながら、演技を勉強したの。それから舞台女優になりたいと思うようになったんですよ。

 大学の演劇科を受け合格。家にお金がないことが分かっていたから、合格発表後、2カ月間も両親に言えなかった。両親に半年分の学費を貸して、と懇願して入学できた。間もなく韓国のKBS放送のオーディションに合格し、女優としてデビュー。ギャラで学費を払えるようになった。

 ソナ 両親はソナが芝居をやること自体、よく思っていなかったんですよ。女は保険会社や銀行で制服を着てまじめに働いて、25、26歳になったら結婚するのが一番、という昔の考え方だった。女優になりたいと思っていたけど、ソナにとって遠い夢というか、可能性がないと思っていた。


チャンスを確信

 日本で成功したいという希望を持っていたわけではない。韓国ではテレビ女優としてドラマに主演し人気があった。日本デビューの話が舞い込んだ時、歌手活動を始めた直後で、発売したアルバムが韓国のチャートで上位にランクイン。日本行きには言葉の壁よりも、歌手としての可能性を考えて、迷ったという。

 ソナ 歌はいつかまた出せるかもしれない。でも日本に行くチャンスは次にいつ来るか分からないから、と決心しました。日本語で演技をすること自体、魅力的だった。でもそれが最初で最後だと思っていた。売れなかったらもうやらないという気持ちでした。

 来日当初はウイークリーマンションだったが、今は自宅マンションで1人暮らし。韓国の母親からは、日本での生活を心配して2日に1度は電話が来るが、「帰ってこい」とは言われないという。現在、韓国へは3、4カ月に1回、戻るが、ほとんど仕事をしていない。韓国で忘れられてしまうことに不安はある。

 ソナ 韓国の人たちが私を忘れて仕事もこなくなっちゃう、どうしようと思うこともある。でも長い人生の中で、そんなに怖がる必要はないかなと思ったんですよ。自分が強くなるというか、人生の中でいい経験になると思います。

 韓国では女優中心だった。バラエティーは司会ぐらいしかやったことがなかった。

 ソナ 不安はありましたよ。韓国は儒教の国だから、バラエティーでも規制が厳しい。でも日本だと自由にできる。みんな人を笑わせることに熱心だし、笑わせることが楽しい。

 来日して、考え方も変わった。経験がなかったバラエティーがおもしろいことに気付いた。これもできたから、あれも可能性があるかもしれない、とポジティブに考えるようになった。

 ソナ できない自分がすごく情けないと思うこともあるけど、いろいろやってみて、そこで何かを感じるのも大事だと思う。もっと成長できるかもしれない。今は何でもやりたい! 日本語がもっとうまくなったら、情報番組とかもやってみたい。大変な努力が必要だと思うけど、いつまで日本語ができなくて“えへへっ”と照れ隠しするのをもう見せたくないですね。


付き合えば結婚

 恋人はいない。付き合った人とは結婚したいと考えるから、交際には慎重になる。以前は結婚するなら韓国人と思っていたが、今はこだわらなくなった。

 ソナ 性格、環境が違う2人が結婚して何十年も生活して合わせていくのは難しいのに、相手が日本人だと文化から違う。自分はいつかは帰らなければならないから、相手に寂しい思いはさせたくないし、私もそんな思いをするのは…と思っていたから、付き合いたくなかった。タイプ? 優しく男らしく、自分の仕事を大小関係なく、一生懸命楽しくやっている人。結婚するといろいろなことができなくなるから、今のうちにやってみたいなと思うことをやってから、結婚したいなーって。だからどんどん結婚が遅くなる(笑い)。来月から英語も勉強しようと考えています。

 日本で人気者になった今も、どれだけ知名度があるか、実感できないという。

 ソナ 名前を覚えられていなくても印象に残る人になりたいし、あの人が出るから、1回見てみたいと思わせるようになりたい。これからドラマでバラエティーでも代表になる作品、いろいろな面を見せる作品に出会えたら、と思っています。


「みやさこさん」やろ!!

 「世界ゴリッパですね!!」で共演し仲がいい雨上がり決死隊の宮迫博之(33) ソナちゃんはとにかく明るい女の子。その上、とても賢い。番組のスタッフの間でも、頭の回転が速いと評判ですよ。まじめだから、何ごとに対しても一生懸命やっていますね。そういえば先日、ソナちゃんからメールが送られてきました。「みやさこへ」。呼び捨てで送られてきました。いい意味でも悪い意味でもピュアな子です。だから大好きです。


 ◆NHKドラマDモード「もう一度キス」 自分の生き方が見つけられずに苦悩する元音大生・歩(窪塚洋介)と韓国の人気女性歌手・玲花(ユンソナ)の純愛物語。文化や考え方が違う2人が出会い、恋に落ちていく姿を描く。共演は国分佐智子、加藤雅也ら。


 ◆ユンソナ 1976年10月15日、韓国・全州(チョンジュ)生まれ。百済(ペクチュ)芸術大演劇映画学科卒。94年、韓国KBS放送のオーディションに合格し、専属女優としてデビュー。ドラマ「レディゴー」「天の川」に出演。01年NHKドラマ「もう一度キス」のヒロイン玲花役で日本デビュー。連ドラ出演は01年「ファイティングガール」02年「ナイトホスピタル」03年「GOOD LUCK!!」など。現在のレギュラー番組は「世界ゴリッパですね!!」「遊ワク★遊ビバ!」「ぐるぐるナインティナイン」「サタデー総合研究所」。趣味は料理、歌、現代舞踊。血液型AB。


(取材・近藤由美子)

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