ホリエモン聴取も、絶体絶命
堀江貴文社長(33)率いるライブドアに、ついに捜査のメスが入った。東京地検特捜部は16日夜、証券取引法違反容疑で同社や関係先を強制捜査した。04年、関連会社が虚偽の買収発表をしたり、決算で売上高などの水増し発表をした疑いが持たれている。市場ルールの穴をついて派手な買収を繰り返す“錬金術”で、わずか10年で時価総額7000億円超の会社を作った堀江氏が、今度は市場のルールで裁かれる番になった。特捜部では堀江氏の事情聴取も視野に入れ、全容解明を目指す。
午後6時半すぎ、東京地検特捜部の係官約15人が東京・六本木ヒルズ森タワーに正面玄関から入り、38階のライブドアで家宅捜索を開始した。報道陣のフラッシュが一斉にたかれ、ヒルズ族が集うタワーは異様な雰囲気に包まれた。特捜部はほぼ同時に、近くにある堀江氏の自宅高層マンション「ヒルズレジデンス」にも家宅捜索に入った。
調べによると、ライブドアが約75%の株を持つ「バリュークリックジャパン(現ライブドアマーケティング)」が04年10月25日、マネー情報誌などの出版社マネーライフ社を株式交換により買収したと発表したが、実際は約4カ月前の同年6月には、マネーライフ社はライブドアの実質的な関係会社になっており、この株式交換が証券取引法違反の偽計取引にあたる、不正な取引だった疑いがあるという。
またバリュー社は同年11月に発表した決算短信で、売上高や経常利益などを水増しして経営状態が実際より良いように見せ、同社の株価をつり上げようとした同法違反(風説の流布)の疑いも持たれている。バリュー社の株価は、04年10月25日の終値17万9000円だったが、翌11月上旬には20万円台に上昇。11月12日の水増し疑惑決算発表を経て、同15日には45万円を付ける急騰をみせた。その後、同社株は100分割され、暴騰した。
堀江氏にとって捜査は寝耳に水だったようでこの日朝民放テレビの取材に対し「一番いいのは消費税を上げること」などと税制論について語ったり、自身のブログに「クリームスープを飲んでみました」とのんきに書いていた。捜査情報が流れた夕方にも、一部の電話取材に対し「特に思い当たる節はないですね。ハハハ」と余裕をみせたが、その後再度の電話には「分からないですね。(風説の流布は)全然身に覚えがない。ないですって ! そろそろいいですか」と一方的に電話を切るなど、いら立ちを隠せない様子だった。捜索の係官に「黙秘権はあるの?」と薄笑いを浮かべていたとの情報もある。
堀江氏は96年、前身の企業を設立。株式100分割や派手な買収を繰り返し、わずか約10年で時価総額7000億円超まで成長させた。同時に、衆院選出馬など話題を打ち上げて知名度を急上昇させたが、その手法には市場から反発も強かった。
特捜部では16日、ライブドアマーケティング代表取締役の自宅も捜索。関係先十数カ所から買収関連資料やパソコンなどを押収、メールの内容などを分析する方針だ。今後の焦点は、グループ最高責任者の堀江氏の関与。日ごろ「失敗してもゼロになるだけ」と豪語。昨年12月の株主総会で「近い将来、時価総額世界一になる」と宣言したばかりの堀江氏にとって、今回の事態も「想定内」だったのか。
[2006/1/17/08:50 紙面から]
写真=ライブドアの家宅捜索に向かい、報道陣に囲まれる東京地検の係官=16日午後6時30分、東京都港区(共同)
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