男子60キロ級の高藤直寿(23=パーク24)がオルカン・サファロフ(アゼルバイジャン)に優勢勝ちし、初の五輪で銅メダルを獲得した。

 序盤から積極的に技を出し、相手を追い込む。防戦一方の相手に指導が2度与えられた。ポイントでリードした後は慎重さを加えたが、技は出し続け、背負い投げでポイント獲得かと思われるシーンも見せた。メダル獲得が決まると、サムアップで喜んだ。スタンドで観戦した志津香夫人は涙を流した。

 「負けて、いつもの自分なら気持ちが折れていた。周りの応援で何とか銅メダルが取れた。感謝でいっぱいです。井上監督に『メダルを絶対に取れ』と言われた。自分が取れなければ明日の(66キロ級の)海老沼先輩にも影響が出ると思って、絶対メダルを取ろうと思った。支えてくださった人たちには申し訳ない気持ちでいっぱいですが、なんとかメダルを持って帰れるので、これが今の自分の強さと思って、胸を張って帰りたいです」。

 表彰式では悔しい気持ちを吹っ切ったような笑顔も見せた。声援には右手のガッツポーズで応えた。胸の日の丸のエンブレムにキスして、また笑顔になった。

 「取りあえずやり切ったと、その想いでいっぱいです。負けてからが本当につらかったので、自分の中では価値のある銅メダルだと思います。東京で必ず金メダルを取ります。また、家族には迷惑をかけると思いますが、柔道に真剣にまじめに取り組んで必ず次のオリンピックでメダルを取ります」。

 最低限の責任は果たした。敗者復活戦では世界ランク1位の金源鎮も破った。差はわずかだった。20年東京でのリベンジへ糧を得た初五輪を終えた。