鹿島は立ち上がり、試合の入りが素晴らしかった。直前のリーグ湘南戦ではいいところなく負けていただけに余計そう感じた。監督の石井さんが、試合開始、後半開始と2度ともうまく選手をピッチに送り出した。これが勝因の1つ。かつての鹿島の黄金時代を知る石井さんはサッカーに対して真摯(しんし)で堅実な守備の人。当時の強かった鹿島を体現する人物。石井さんの力と人柄、そして選手との信頼関係が形になった優勝だと感じた。

 守りから入って、大事な試合で勝負強さを発揮する。これが鹿島の伝統。この試合運びで優勝できた。これでチームは転換期を迎え、新たな黄金期に向け1歩を踏み出すことができたのではないか。ミツ(小笠原)やソガ(曽ケ端)がずっと伝え続けてきてくれた鹿島の伝統、勝者のメンタリティーを、勝つことで若い選手も実感できたことが大きい。今日はOBとして素直にうれしく、おめでとうと伝えたい。(日刊スポーツ評論家)