<W杯アジア2次予選兼アジア杯予選:日本0-0シンガポール>◇E組◇16日◇埼玉

 シンガポールは球際は強いし、GKも当たっていた。それを差し引いても日本には余裕がなさ過ぎた。あれだけ引いた相手を崩すには、もっと遊び心が必要なんだ。サイドから人を追い越していくオーバーラップも少ないし、中央で壁パスで崩すような場面もない。アイデアがないんだ。

 これはハリルホジッチ監督になってからの弊害といえる。大人じゃなくて、まるで高校サッカーみたいな雰囲気だ。監督が仕切りすぎて、みんなが「怒られないように」とこわごわプレーする。そういうチームは、選手たちが自分で打開する力がない。思い通りにならない試合展開だとこうなるんだよ。

 遊び心とかアイデアみたいなものは、例えば海外で高いレベルでプレーする選手たちが、生き残るために自然に身に付けるものだと思う。なのに香川を筆頭に、今の代表の海外組はみんなやみくもに必死にやっている。酒井宏なんか海外組とは思えないクロスの精度の低さだ。

 僕は日本のメディアが祭り上げているほど海外組と国内組の差はないと思っている。今の海外組は、ただエージェントが連れていったというだけの存在だ。(日刊スポーツ評論家)