第87回全国高校サッカー選手権(12月30日~来年1月12日)が30日、開幕戦・鹿島学園-一条戦(国立)で熱闘の幕を開ける。今大会一番の注目選手はJリーグ2連覇を果たした鹿島入りが決まっているFW大迫勇也(18=鹿児島城西)。高さ、速さ、うまさを兼ねそろえた高校NO・1ストライカーが、鹿島を連覇に導いた名将オリベイラ監督からの「金言」を胸に初優勝を狙う。

 高校NO・1ストライカーと注目を浴びながら、動じることも、慢心することもない。大迫は淡々と言い切った。「気持ちは普段と変わらないです。(初戦の)青森山田にも普段通りの力を出せれば勝てると思うので。大会に向け、これから調子も上がってくる」。

 27日、来春入団する鹿島の練習場で行われた山形中央高との練習試合に1本目の40分だけ出場。182センチの長身ながら柔軟なポストプレー、反転の鋭さ、一瞬の速さを披露。28分にはMF平原の右からのクロスをダイビングヘッドでたたき込んでみせた。

 常に胸に刻む「金言」がある。今夏に鹿島の練習に参加した際、オリベイラ監督から「とにかく点を狙え。ゴールを狙えば次に何かが起きるから」と声をかけられた。これまではゴール前でシュートが打てるタイミングでも安全策を取ってキープする場面が見られたが、その後は貪欲(どんよく)にゴールを狙う姿勢が増した。

 「自分が成長できると思って鹿島を選んだ。練習に参加して、判断や切り替えの速さなど、サッカーの質が全然違った」。それ以降、さらに厳しく練習に取り組んだ。小久保監督も「鹿島の練習参加は大迫の重要な経験になった」と話す。

 中学途中まではトップ下を務めていたため、今でも時折中盤に下がってゲームメークもこなす。そのオールラウンドぶりから、鹿島の強化関係者からは「柳沢敦2世」の声も上がっている。「そう言われるのはいいんですけど、それほど気にはしていないです」。

 夏場の高校総体、秋の全日本ユースはともに8強止まり。25人中12人が育英館中から一緒にプレーする仲間だけに「今大会は6年間の総決算。だから優勝したいんです」。初の選手権で栄冠を手にして、プロの世界に乗り込むつもりだ。【菅家大輔】