<サッカーai:境1-0東久留米総合>◇31日◇1回戦◇西が丘

 07年に創部した東久留米総合(東京A)サッカー部。1期生である3年生にとっては、悔しい初戦敗退となりました。上級生がいない彼らにとっては監督やコーチが先輩のかわり。時には彼らを鼓舞するために必要以上に声をあげることもあったそうですが、武藤尭行キャプテンをはじめとしてほとんどの選手が「何でこんなに怒っているんだろう?」と思っていました。しかし、最後の選手権の切符をつかむことができた今となっては「ゼロからのスタートだった僕たちを選手権のピッチに立たせてくれた。本当に感謝しています」(金丸洋介選手)と、試合後の選手の口からは監督やコーチへの感謝の言葉が。目標である選手権1勝はなりませんでしたが、「本当に最高の3年間でした!」(大塚直穂選手)と、試合後には涙とそして笑顔を見せてくれました。

 試合後、斎藤登監督が「失点はしてしまったけど、今日は武藤の強い気持ちが防いだシュートがいくつもあった。高校からGKを始めて、技術的には他の選手よりも劣るかも知れないけれど、ああいう気持ちの入ったプレーが選手権の良さなんだと改めて感じさせてくれました」と話したGK武藤選手。失点のシーンでは、手がわずかにボールに当たり「もっと強くボールにいっていれば防げていたと思う。どんなにセーブしていても失点してしまったら負けは負け」と、悔しさをにじませていました。しかしチームメイトの金丸選手は「あいつは公式戦に強くて、いつもピンチを救ってくれた。DFとして助けられることばかりでした。GKは武藤だったから安心してプレーできました」と話してくれました。何度も嫌で辞めようと思ったGKを、大学でも続けていくことを決めた武藤選手。大学では教員免許獲得を目指し、将来は「この全国の経験を子どもたちに伝えたい」と斎藤監督と同じ道を目指します。

 実は…大会の数日前、最後の合宿をしていた彼らを訪ねたときに、色紙に意気込みやアピールポイントを書いてもらったのですが、「誰か先生の似顔絵を描いてくれませんか?」とお願いしたところ、コーチの指名で「無理ですよ!」と言いながらも一生懸命に書いてくれたMF星雄大選手。出来上がりを待つ間「いいね!」「似てるよ!」と優しく声をかけるみんなの姿がこのチームの絆を表しているような印象的な出来事でした。その後携帯電話のカメラを使ってその似顔絵の記念撮影をしたのですが、そのときの写真を見た斎藤監督が「ありがとうって言ってくれたんです。僕、それを聞いてうれしくて笑ってしまいました」と大塚選手が教えてくれました。彼らと斎藤監督の3年間は幕を閉じますが、「この悔しさは全国でしか晴らせない。また明日から頑張ろうというパワーをあの子たちがくれました」と斎藤監督。東久留米総合サッカー部の挑戦はこれからも続きます。(サッカーai編集部・阿部菜美子)