<高校サッカー:八千代2-1旭川実>◇2回戦◇2日◇市原臨海

 八千代(千葉)は旭川実(北海道)に逆転勝ちした。

 八千代のスーパーサブが、ファーストタッチで仕事をした。途中出場から1分後の後半24分、MF長沢のスルーパスに反応したFW磯部が相手DFの裏を突く。左足を振り抜くと、GKの手を吹き飛ばす千金弾になった。「夢中で打ったら、ゴールに吸い込まれた」。県大会では途中出場した3試合で各1得点。出場停止だった予選準決勝、決勝の借りを全国の舞台で返した。

 負傷だらけの3年間だった。1年冬に左ひざ前十字靱帯(じんたい)を損傷し半年以上、棒に振った。2年の5月には左足首を脱臼して手術。3年の5月は左手首骨折で手術を受けた。それでも、砂金監督が「50メートルは5秒台。規格外」と表現するスピードで切り札に定着。同監督から「残り15分で流れを変えられる」と信頼され、期待にこたえた。

 けがに泣いた経験を生かし、将来は医師を目指す。16、17日にセンター試験を控え「サッカー以外の時間はすべて受験勉強です」と磯部。偏差値70を超える千葉大医学部が第1志望で「自分のような人を助けたい」と、合格したら整形外科を専攻するつもりだ。

 スーパードクターを目指すスーパーサブの活躍で、前回出場の06年度に続く3回戦進出。砂金監督は「5-0で勝った初戦の後に接戦を経験できて良かった」と上位進出へ手ごたえをつかんだ様子だった。【木下淳】