試合開始の15分前、なでしこジャパンの控室は大いに盛り上がった。「ナガちゃん(大儀見)、あれをかけちゃうよ~」とFW大野が叫ぶ。globeの「FACES PLACES」がかかってライブがスタート。熱唱するFW大儀見優季(27=ウォルフスブルク)の周りに22人が輪になって、手拍子で騒いだ。数日前から緊張していたW杯初出場のGK山根やDF有吉の表情が変わった。有吉は「あれで、よし、頑張ろうって気持ちになれた」と感謝した。

 大儀見に続いたのは主将の宮間だった。12年ロンドン五輪の初戦に続き、円陣の真ん中で言った。「ここに来ているのは選ばれた人。だから自分に自信を持って。仲間を信じて。そしてここに立つことの出来なかった選手のぶんも頑張ろう。初戦を勝って、優勝しよう」。感極まって涙があふれる選手もいた。

 大儀見は「トーナメントでは一体感が大事。初めて出る人もいたし、緊張が解ける意味ではよかったかな。お互いが助け合う気持ちが強いから、自然とこういうことが出来るいいチームだと思う」。大野も「ホマ(澤)も、あや(宮間)も本当に頼りがいがある。あのPKを決める、あやはすごい。ホマにも決めて欲しかったなあ」と笑顔を見せた。初優勝から4年。試合に向けての士気の高め方を知っているのも「なでしこ力」だ。