日本代表FW本田圭佑(29=ACミラン)は、痛恨ドローにもあえて強気に振る舞った。「サンシーロ(ACミランの本拠地)ならこの50倍のブーイングを浴びせられる。言い訳はするつもりはない。(得点を)決めなければいけなかったですし、勝たなければいけなかった」。自身3度目のW杯アジア予選。順調ではない道のりも思い描いていたはずだ。だからこそ「予選はまだ始まったばかり。予選を通して評価してもらいたい」と言い放った。

 放ったシュートは最多7本。後半18分にゴール前フリーで頭に合わせるもGK正面。同28分のFKはバーをたたいた。同30、31分と立て続けにゴールを狙っても、最後までネットは静かなまま。明らかに「本田の日」ではなかった。

 「あえてテンポを遅らせるタメが必要だった。でも久しぶりにアップ、アップなテンポの(速攻重視な)サッカーをしていた流れで、臨機応変さが足りなかった。反省点はありますね」

 世界の頂点に憧れながら、アジアですら苦戦が続く。そんな日本の現状も、冷静に分析した。

 「それは、コパアメリカ(南米選手権)も一緒。ブラジルやアルゼンチンでも簡単には勝てない。アジアのレベルも上がっている。我々がどうにも悪かった試合ではないですし、これが日本の実力。悲観する必要はない」

 ロシアへ続く、長い道のスタート地点。本田がまた、険しい崖に直面した。【益子浩一】