【テヘラン9日】難敵相手のアウェー戦は巻き返しの大チャンスだ。8日のW杯アジア2次予選でシリアに3-0で勝ち、E組首位に立った日本代表はオマーンのマスカットから午前4時すぎにテヘランに到着し、夕方に練習を行った。バヒド・ハリルホジッチ監督(63)は13日の国際親善試合イラン戦で、シリア戦で先発しなかった選手を多く起用する見込み。MF清武弘嗣(25)FW宇佐美貴史、武藤嘉紀(ともに23)らにアピールの機会を与える。

 シリア戦から一夜明けた、9日午後5時。日本代表はテヘラン市内で、イラン戦に向けて練習を開始した。冒頭、ハリルホジッチ監督は選手を集め、30分近く言葉をかけ続けた。そしてシリア戦の先発組にランニング中心の軽めの調整を命じる一方、他の選手にはしっかりとした練習を課した。GK陣のパス練習では、自ら手本も示した。

 次は君たちだ。難敵相手の試合で、自分の価値を示してみせろ。一挙一動に、そんなメッセージがこもる。前夜、シリアに3-0と快勝した直後の記者会見。ハリルホジッチ監督は「スタジアムには8万人入るので、環境もがらりと変わる。もっと高いレベルの試合になる」と断言した。

 日本協会は当初は集客面も考え、国際親善試合は日本国内で行う方針だったが、ハリルホジッチ監督の「ハイレベルなアウェー戦を」というたっての希望でイラン戦の実現にこぎ着けた。霜田技術委員長は「イラン戦は元気な選手がプレーすると思います」と、貴重な強化の機会で先発を大幅に入れ替え、戦力発掘に充てることを示唆した。

 ハリルホジッチ監督はシリア戦後、質問を待たずに「宇佐美、清武、武藤は試合にいい入り方をしてくれた。我々にスピードをもたらしてくれた。宇佐美はいくつもチャンスをつくってくれた」と言及した。いずれも同監督に期待されながら、W杯アジア予選では先発の機会を奪われた形となっている選手たちだ。

 シリア戦で後半21分から出場し、同43分に得点を挙げた宇佐美は「試合開始からチームを引っ張る活躍をしないといけない」と満足せず、さらにモチベーションを高めた。他にもMF柏木、DF塩谷らハリル体制初招集の選手もチャンスを得る見込み。難敵相手の先発機会を、ポジション奪取への足掛かりにする。