日本サッカー協会は25日、女子のリオデジャネイロ五輪アジア最終予選(29日~3月9日、大阪市)に臨む日本代表「なでしこジャパン」のメンバー20人をヤンマースタジアム長居で発表した。佐々木則夫監督(57)は、昨季引退した澤穂希さんの背番号10を受け継ぐFW大儀見優季(28=フランクフルト)を「東京五輪まで10番を背負ってほしい」と、次代のチームの顔に指名した。なでしこは、4大会連続の五輪出場を懸けて6チーム中の2位以上を目指す。

 佐々木監督の中で、なでしこの新世代の象徴が決まっていた。会見で「10番に関しては大儀見に託したい」と切り出す。はじめは「まずは」「この大会では」と付け加え「最終予選限定」を示唆したが、徐々に本音を隠せなくなっていく。「ほかにも背番号10の資質のある子はいるが、次のW杯(19年フランス大会)も20年東京五輪も10番を背負ってほしいと思って打診した」と打ち明けた。

 今年1月の沖縄・石垣島合宿中に話を持ちかけ、大儀見から「女子サッカーの未来のためにやっていきたい」と快諾された。澤さんが97年から19年間にわたってつけてきた10番。今後の日本を長く背負う人材に引き継いでほしかった。大儀見は28歳、東京五輪は33歳になって迎える。澤さんも、ドイツW杯で優勝した11年に33歳となった。新たなレジェンドの後継者だ。

 実績も申し分ない。大儀見も11年の女子W杯ドイツ大会優勝、12年ロンドン五輪銀メダル、15年W杯カナダ大会準優勝を経験。国際Aマッチ得点数も、澤さんの83点に次ぐ歴代2位の55得点を誇る。欧州CL制覇やブンデスリーガの得点女王など世界的成功も収めている。そんなストライカーに、少なくとも自国開催の20年までエース番号を背負ってもらいたい。指揮官は「彼女も東京までというイメージを持って快諾してくれた」と思惑が一致した。

 次の日本の顔に指名された大儀見は会見前の午前練習後、覚悟の一端を口にした。「発表前なので何とも言えない」とした上で「澤さんが背番号の価値というものを高めてくれた。10番は、女子代表の中で最も価値のある番号だと思う」。08年北京五輪から背負ってきた17番から、新10番となる最終予選。初仕事は、チームをリオへと導くゴール量産しかない。【木下淳】