ブラジルで味わった悔しさを思い出せ! 日本代表FW本田圭佑(29=ACミラン)が、日刊スポーツの独占取材でW杯への枯れぬ思いを語った。12日、18年W杯アジア最終予選の組み合わせが決定。1勝もできず1次リーグ敗退した14年ブラジル大会を回顧して「W杯で勝つ基準は、あの悔しさがベースになる」と明かした。まずは、自身3度目となるW杯出場権獲得に全力を注ぐ。

 W杯へと続く道が、本格的に始まる。この日、最終予選の組み合わせが決定。前回14年大会までの本田は、世界一を公言し続けることで、周囲を感化させながら日本を引っ張ってきた。それとは対照的に18年大会を目指す今は、不言実行を貫こうとしている。決して簡単ではない最終予選を前に、最近では珍しく声を大にして思いの丈を明かした。

 本田 W杯で勝つことを、真剣に考えられている人間と、考えられていない人間。(代表内に)それぞれいますよね。真剣に考えている人は、W杯を経験した人しか論理的にはあり得ないと思う。でも経験していても時間とともに忘れてしまうのが人間なんです。あの悔しさ、感覚、(世界との)基準。勝つ基準というのは、あの(ブラジルの)悔しさがベースになるんです。忘れてしまっている人には僕がまた、病的なくらいに意識付けをしていく。

 自身3度目のW杯まであと2年2カ月。残された時間は多くない。今年6月に30歳。18年大会は、まさしく集大成のW杯になる。

 本田 日本のレベルが上がっているのは事実。代表に入るのも、欧州でレギュラーでやっているのが条件になっているから。(各選手の)所属クラブのレベルも高くなっている。でも、それじゃ足りない。それとW杯で勝つというのは比例しなかったりする。(14年)ブラジルでは勝てなかった。(10年)南アフリカの成績(ベスト16)は最低限の結果。日本は盛り上がったかも知れへんけど、あれは僕に言わしたら最低限なんです。

 もう本田は「W杯優勝」とは口にしない。あえて封印しながらも、日本を世界一に近づけようとしている。若手選手の成長が遅れていることについては「物足りない」と言う。その上でG大阪FW宇佐美や、鹿島MF柴崎らには早く欧州に出ることを勧める。

 本田 自分の環境は自分で作るもの。僕は自分の実力より、3歩先を求めるタイプやしね。でも今の(若手)選手は環境が整わないところには行かないですよね。僕が言及したいのは、そうではない。(欧州に)行って(よりよい環境を)つかむんです。そうしないと、劇的には成長しない。

 W杯経験者には「ブラジルの悔しさを忘れるな!」。未経験の若手には「劇的な成長」を求める。アジアの最終関門の先にあるロシア大会へ。最後に、こう締めくくった。

 本田 1つ言いたいのは(日本には)ポテンシャルがあるということ。その気になれば変われる。その覚悟を持てるかどうか。そこにかかっていると思う。【取材・構成=益子浩一】