バヒド・ハリルホジッチ監督(64)率いる日本代表が、負けられないW杯アジア最終予選の初戦で、豪華長期合宿で万全の準備を整えた難敵とぶつかる。明日9月1日に埼玉スタジアムで対戦するUAE代表が30日、日本に到着した。2カ月にわたる代表合宿で、日本対策を徹底。昨年1月のアジア杯準々決勝でアギーレジャパンを破った実力国が、満を持して日本と対峙(たいじ)する。

 ハリルホジッチ監督は「UAEは国家を挙げてチームをバックアップしている。事前に2カ月も合宿を組んで、この試合に向けて準備をしてきている」と警戒する。W杯アジア最終予選の大事な初戦。UAEは金や時間に糸目をつけず、万全の準備を進めてきた。

 7月10日。スペイン南部ムルシア州の「ラ・マンガ・リゾート」で、UAE代表は早くもキャンプインしていた。屈指の高級リゾート地での合宿は何と、そこから1カ月半も続いた。世界はリオ五輪に沸いていたが、それに構わず黙々と練習を重ねてきた。

 その後、合宿は中国に場所を移し、30日まで続いた。単純に期間が長かっただけではない。全員が国内組なので、常にベストメンバーで戦術練習ができた。

 欧州進出が可能な実力者は少なくない。今夏もスペイン1部エスパニョールが、司令塔のMF、O・アブドゥルラフマン獲得に動いているという情報があった。

 しかしここでも、UAEマネーがモノを言う。各クラブが持つ金銭感覚は、他のどの国とも異なる。代表の主力でもない選手に、10億円前後の移籍金が発生することもあるという。そのため代表メンバーも、年俸など条件のいい国内にとどまる。おかげで他国の代表に比べ、全員が一緒に練習する機会が持ちやすい。

 代表には「日本を最もよく知る指揮官」の薫陶を受ける選手も含まれている。前日本代表監督のアギーレ氏は、現在UAE1部アルワハダで指揮を執り、今回はFWアラクバリら4人がメンバーにいる。日本についての情報をチームで共有している可能性もある。

 国内メディアも日本代表を丸裸にしようと、アギーレ監督に取材攻勢をかけている。国を挙げて取り組む、ハリルジャパン対策。負けられない初戦で、なりふり構わぬ難敵に直面する。【塩畑大輔】