U-19(19歳以下)日本代表に飛び級で初招集された15歳の中学3年生、FW久保建英(たけふさ、東京U-18)が11月30日、初めて東京五輪世代の代表チームに合流した。千葉・市原市内で初練習に参加し、東京五輪への思いも初めて口にした。同代表はアルゼンチン遠征へ出発、U-19同国代表と2試合戦い、12月10日に帰国する。

 練習開始の30分も前からカメラが横一列になり久保の到着を待っていた。この世代では異例のテレビカメラ7台、報道陣は計44人。注目の中、久保は広いピッチで対面したばかりの年上の選手たちと初練習に臨み「日ごろテレビで見ている選手たちもいて、年上の選手たちに交じって、いつもと違う雰囲気の中で練習できて、とてもいい経験になりました」。15歳の中学生は初々しかった。

 ゲーム形式のメニューでは、赤いビブスの4番がボールに触れるとカメラが一斉にそちらを向いてシャッター音を鳴らす。あまりボールが回ることはなかったが、後方からのボールを巧みなトラップで収め、DFを背負ってキープするなど違和感なくプレーした。

 名門バルセロナが認めた世界レベルの才能。東京五輪に向け期待は膨らむ。4年後の大舞台に向けても初めて言及。「自国開催というのは一生に1度あるかないか。意識してなくはないんですけど、今はまだ(主力のこの世代と)同じレベルに立てていないので、ここからまた努力していきたい」と言った。

 来年のU-20W杯(5~6月・韓国)の出場権獲得後、この年代の代表チームで初めての活動。久保を抜てきした内山篤監督は大きな期待を寄せる。「攻撃のポテンシャルがある。(ボールを持った時は)非常にいいものがあるし、今日見ても(持たない場面でも)予想通り、周りを見ながらやっている」。同世代の強豪アルゼンチン代表との2試合でも、攻撃的なポジションで起用するという。

 少し早口だが、受け答えは、U-19どころかA代表でも十分通用しそう。「若いうちから日の丸を背負って海外、国内でいろんな経験をさせてもらうというのは、ごく一部にしかできない体験。今回もアルゼンチンという遠くまで行かせてもらって、すごいチャンスというか経験なので、与えられたモノを無駄にしないようしっかりやりたい」。周囲の騒ぎをよそに、久保は地に足をつけアルゼンチンへと向かう。【八反誠】