【チカラン(インドネシア)13日=岡崎悠利】サッカー日本代表と東京オリンピック(五輪)世代のU-21日本代表を兼任する森保一監督(49)が、カンボジア代表のゼネラルマネジャー(GM)に就任したFW本田圭佑(メルボルンV)の背中を押した。同じく2つの役目を担う立場として、実質的なカンボジア代表監督にもなった本田の成功を願った。アジア大会に参加するためU-21日本代表を率いてインドネシア入りしており、今日14日に兼任監督として初陣となるネパール戦に臨む。

 森保監督は本田の挑戦を前向きに受け止めた。6月のワールドカップ(W杯)ロシア大会ではコーチと選手という立場で苦楽をともにし、本田の価値観を知った。現役を続けながら、指導者のライセンスを持たずにGM的な重責を担うことについて「人それぞれ価値観はあると思いますが、自分の可能性を追い求めてトライすることはすごい」と背中を押した。

 自身は東京五輪と22年W杯カタール大会へ突き進む。カンボジアは同じアジア圏。将来的にW杯の出場権を争って対戦する可能性もあるが「サッカー界の中で、アジアのレベルが上がることも見据えて活動している。すごいこと」と、より大きな視野に立ってコメントした。

 同じく2つの重責を担う森保監督の目の前にあるのはアジアのタイトル。現地入りしてから中1日で初戦を迎える。現地で1度だけの練習は移動で渋滞に巻き込まれて開始が遅れ、練習場はでこぼこで芝が乱雑にのびていた。照明が暗く「ボールが見えない」という環境で感触を確かめる選手たちを、森保監督は見つめた。「スムーズにいかないこともある中で、ピッチ内外で対応力を持つことが大事」と奮起を期待した。

 8強進出を目指したW杯ではコーチとして、西野前監督のそばで1次リーグを勝ち抜くためのチームのマネジメントを学んだ。一方、東京五輪でメダルを手にするには7試合を勝ち抜かなければならない。「日程的に(アジア大会と)違いはない」。チーム強化の一方、アジア大会は大一番を想定する場にもなる。2年後に向けたプロジェクトが動き出す。