日本代表候補に初招集された19歳のMF香川真司(C大阪)が、岡田監督のハートをつかんだ。千葉合宿2日目の22日、2部練習に参加。午後に行われた試合形式のフォーメーション練習では闘莉王、寺田の2人のDF陣を抜き去り、左足で豪快なゴールを決めた。午前練習で直接指導も行った監督は、香川のプレーにに「グッド!」「ナイス!」を連発。A代表生き残りへ、平成生まれの新星が、短期間でのアピールに成功した。

 名刺代わりの一発だった。フォーメーション練習で右サイドに入った香川がドリブルで切れ込んだ。闘莉王、寺田と2人のDFをスピードでかわし、左足でシュートを放った。百戦錬磨のGK川口も止められない豪快なゴール。パスを出した後の動き出しの速さと、視野の広さを存分に披露。19歳の1つ、1つのプレーに岡田監督は「グッド!」「ナイス!」と叫んだ。

 香川

 (監督に褒められたのは)聞こえなかったです。まだいっぱい、いっぱいなんで。通用することろもあったけど、まだ遠慮もあるし、余裕がないです。

 たった1日で岡田監督のハートをつかんだ。午前中の実戦練習では、相手との距離、体の寄せ方などを直接指導で伝授された。普段は個人名をあまり出すことのない指揮官の「香川、ボールが欲しかったら、もっと呼び込め!」のゲキに、必死に耳を傾けた。

 緊張からおどおどした姿も、ピッチに入ってボールを持てば、堂々とした姿に変わった。「(大久保)嘉人さんは顔からして怖い」と言いながら、2対2のミニゲームで対峙(たいじ)すると、得意のドリブルとフェイントで2度も抜き去って冷や汗をかかせた。J2が主戦場だが、日本を代表するDF闘莉王、エース格のFW大久保に対しても物おじせずにぶつかった。

 今合宿前にはC大阪の元日本代表MF森島寛と食事に出掛け、代表の心構えを聞いた。目標とする36歳の大先輩は、02年にJ2から代表に選出され、W杯日韓大会ではチュニジア戦で決勝トーナメント進出を決める得点も挙げている。「僕もW杯を目指すチームでやれて幸せ。1回きりでは終わりたくない」。生き残れば、6月にW杯アジア3次予選4連戦が控える。W杯へと続く道を、1歩1歩進んでいく。【益子浩一】