<練習試合:流通経大1-0日本代表>◇1日◇千葉県内(30分×2本)

 岡田ジャパンが赤っ恥をかいた。国内合宿最終日の1日、千葉県内での流通経大と練習試合で屈辱的な0-1の敗北を喫した。6日のW杯アジア最終予選バーレーン戦(アウェー)を前に、徹底してきた守備の連係が実戦でまったくかみ合わなかった。岡田武史監督(52)が「やってきたことが出せていない」と吐露。バーレーンでセルティックMF中村俊輔ら欧州組4人が合流するとはいえ、大きな不安と苦悩を抱えたまま、2日に敵地に出発する。

 「背水」という言葉以上に現実は厳しかった。戦術確認を主眼にした練習試合とはいえ、大学生相手に屈辱の完封負け。合宿のテーマだった守備の連係は形すら見いだせなかった。「今までやってきたことが生きていないわけじゃないが、戻っていない」。岡田監督はうつろな目で、声をつまらせた。

 パスの出し手に連係してプレスを掛ける練習に取り組んできた。それが実戦で出せなかった。闘莉王、中沢ら主力組で臨んだ前半から、個々の動きはバラバラだった。守備の悪循環は攻撃面にも波及。「守備を考えすぎて、攻撃が単調になった」とFW玉田。大学生から1点も取れなかった。

 後半21分にゴール前の混戦から痛恨の決勝点を押し込まれた。前日8月31日の天皇杯茨城県大会決勝に先発した9人がそのまま出場した流通経大の方が動きがよかった。「失点シーンはシューター以外に2人もフリーの選手がいた」とDF長友。得点を決めたFW三門からも「全部が中途半端でプレスにきているかどうかも分からない。自由にできました」と酷評された。

 監督が目指す組織的な守備の連係は、いまだ身についていない。組織を意識するよう指示した後半は、逆にプレスがかからなくなった。「1カ月ごとに1週間集まって、また一からやり直しじゃしょうがない」と岡田監督。「(所属)チームで(同じ戦術を)やってないところが多いし…」と首をかしげた監督自身も混乱しているようだった。

 欧州組と合流する2日までに守備を構築する計画が崩れた。残る4日間では細かい戦術練習もできない。岡田監督は「欧州組が入ったら攻撃は変わる。セットプレー以外隠すものはない」と強がったが、直後に「情けない試合だった」と関係者に漏らした。長く、過酷なW杯最終予選ロードに、スタートから黄信号がともった。【村上幸将】