サッカー日本代表の岡田武史監督(53)が21日、クラブチームでの監督就任に意欲をみせた。W杯南アフリカ大会後、サッカーから離れることも示唆していたが、自宅のある逗子市の市民栄誉賞表彰式で「僕にはサッカーしかない」と明言。リーグのカテゴリーや国内外を問わず「いい話があれば」と前向きに話した。日本代表監督としての契約更新は否定しながらも、岡田監督の気持ちは1つだった。
「オファーがあれば考えます。僕は監督だから」。はっきりとした口調で、岡田監督は言い切った。午前中に行われた逗子市民栄誉賞の表彰式。集まった子供たちを前に「今は職を探しているけれど、僕にはサッカーしかないので」と話した。式後には「やらないのは代表監督。クラブは別」と言い「オファーが来ればの話だけど」と、早期の監督復帰までにおわせた。
代表監督の続投を否定して以来、岡田監督の今後には注目が集まった。「農業をやりたい」「イカ焼き屋もいい」などサッカー界から離れることも示唆。激戦の疲れと、戦い終えた満足感から「監督は大変」「もう十分」などの言葉が何度も口をついて出た。
しかし、時間がたつにつれて監督業への思いは募ったようだ。この1週間、場所は「秘密」と言いながら「南の島でリフレッシュしたよ」と話した。少し日焼けした顔で「ゆっくりできた」。落ち着いて将来を考えるうちに「戦場」への復帰を強く思うようになったのかもしれない。
9日に皇居に招かれて以来、久しぶりに公の場に現れた岡田監督は、これまでの発言がうそのように現場復帰を口にした。「カテゴリー(J1やJ2)にはこだわっていない」「海外でもかまわない。いい話があれば」と、監督として活動できる場を求めた。これまでは沈黙を守ってきたが、いよいよ「公開職探し」に踏み切ったわけだ。
唯一日本人指導者としてW杯で指揮をとった。しかも2度も。抜群の実績と経験は、日本サッカーの貴重な財産でもある。それが生かされるのは、朗報でもある。この日、一緒に神奈川県特別表彰を受けた横浜の日本代表DF中沢は「相手にするのは嫌。クセまで全部見抜かれてますからね」と話したが、その表情は歓迎の笑顔だった。
98年フランス大会後は、あえてJ2の札幌を率いてJ1昇格を目指した。W杯16強を手みやげに、次に選ぶのはどこか。Jクラブの争奪戦は間違いなく、さらに海外から誘われる可能性もある。「オファーが納得できるかどうか」が決め手という岡田監督。あのガッツポーズが再び見られる日も、遠くはなさそうだ。【荻島弘一】


