3人の候補者に絞られた日本代表監督の後任人事について、日本協会は実績面で他の2人をリードするビクトル・フェルナンデス氏(49)を最優先していることが3日、分かった。知名度のマルコ・ファンバステン氏(45)、将来性のエルネスト・バルベルデ氏(46)の順番となるが、年俸等の条件を巡る交渉だけに予断を許さない状況。代理人を交えた駆け引きが激しくなるだけに、日本代表監督人事からますます目が離せなくなってきた。

 有力候補者の人数が3人と限定されたことで、交渉に臨む原博実強化担当技術委員長の手腕がよりクローズアップされる。この日、原委員長は自宅で関係者との電話連絡に忙殺され、協会に姿を見せることはなかった。この日までの電話、メールによる下交渉では、直接交渉への離日日程は決まっていない。当面は同じ作業の繰り返しになる。

 具体的な人数と候補者の名前が明らかになり、どの監督候補と、どういう条件で交渉を進めていくか。そのタイミングと、引き際を見極める決断が大切になる。そうした中、日本協会は、現段階ではフェルナンデス氏を第1候補として交渉をスタートさせる可能性が高まった。

 フェルナンデス氏招聘(しょうへい)にかかる費用は、協会が設定した総額5億円を超えている。ただ、小倉会長は常々「原と大仁副会長が良ければ問題はない」と、人選は原委員長らに一任している。多少費用がかかっても、指導力と日本人にあったサッカーを実践できるフェルナンデス氏を推す原委員長の意思が優先される。

 条件面では同氏側も譲歩しており、日本協会としてどこに妥協点を見いだすかが重要になる。また、そうした動きは、ファンバステン氏らにも筒抜けになる可能性が高い。フェルナンデス氏との交渉が暗礁に乗り上げた場合、いかに素早く交渉相手を切り替えられるか。めまぐるしく動く交渉の中で、すべては原委員長の決断にゆだねられる。

 岡田ジャパンは守備的サッカーでベスト16入りを果たした。今回の最終候補者はいずれも攻撃サッカーを掲げている。契約合意へ、最後の難関が控えるが、攻めを重視する新生日本代表のスタートはすぐそこに迫っている。