<キリンチャレンジ杯:日本1-0パラグアイ>◇4日◇日産
「ザックジャパン」の攻撃の柱だ。日本代表のMF香川真司(21=ドルトムント)が、値千金の決勝弾を決めた。W杯南アフリカ大会の決勝トーナメント初戦でPK戦負けしたパラグアイ代表との再戦は、香川が後半19分にDFの間を抜けて右足ゴールを挙げ1-0で勝利。アルベルト・ザッケローニ新監督(57)が見守る前で新生日本第1号を決めた。世界8強を阻まれた因縁の相手にも雪辱。W杯はサポート選手としての帯同だった香川も、屈辱を糧に2014年W杯ブラジル大会への第1歩を刻んだ。
6万超の大観衆が、息をのんだ。後半19分。香川が全速力で、ペナルティーエリアの外からタテに走り込んできた。DFを抱えながらMF中村のパスを右アウトでトラップすると、そのまま右足でシュートを放った。ボールはポストに当たって、ゴールへと吸い込まれていく。一瞬のスピードでDFの間をくぐり抜け、最後は冷静に決めた。21歳の持ち味が、凝縮された1発だった。
香川
(中村)憲剛さんがいつもタテを見ていてくれたので、狙っていました。得意な形だし、うまくゴールに入ってくれた。(コースが)はっきり見えていた。あれはイメージっす。
間違いなく、ザックジャパンの攻撃の軸だろう。前半35分にはゴール前へ顔を出して森本との連係で決定機を生み、同40分には左ゴールライン際を得意のドリブルで崩した。圧巻は後半11分。敵陣でスピードに乗り、まるでアルゼンチン代表メッシ(バルセロナ)のように相手3人を抜き去ってシュートまで持ち込んだ。自由な発想と、一瞬のスピード。これまでの日本にないアイデアと、個人技をうまく融合させて、攻撃陣に新たな息吹を与えた。
日本の夢を砕かれた相手に雪辱を果たし、香川自身も屈辱を晴らした。南アフリカ大会は登録23人から漏れ、サポート選手としての帯同だった。どれだけ練習しても、どれだけいいプレーをしても、披露する舞台がなかった。パラグアイにPK戦負けした時、号泣する仲間をスタンドから見つめていたが、どこか人ごとのように思えた。21歳の試練だった。「オレ、何でここにいるんですかね」-。W杯の直前合宿地スイスで、思わず漏らした一言が、重く感じられた。
香川
W杯に出られなくて、すごい悔しかった。だから、今日はすごく気合が入っていた。W杯は守備的に勝ち進んだけれど、攻撃的なところも見せたい。そういう意味では、今日はよかったと思う。
W杯後にドイツへ渡り、たった2カ月で見違えるように成長した。強豪ドルトムントではトップ下で定位置をつかみ、欧州でも注目度が高まりつつある。香川は「向こうではサッカーしかない。雑音を気にすることもなく、自分を追い込むことができている」という。悔しさを糧に、14年W杯ブラジル大会への第1歩を踏み出した。日本の確かな光となる香川を、ザッケローニ新監督はうれしそうにスタンドから見つめていた。【益子浩一】

