日本代表のアルベルト・ザッケローニ監督(57)が、14年ブラジルW杯で優勝争いに加わることを宣言した。21日、東京・港区で行われたアジア大会・アジア杯優勝祝賀パーティーに出席。この日の早朝に来日し、今日22日にイタリアに戻るという弾丸日程で登壇した指揮官は、スピーチで「W杯でトップを争える実力のあるチームとして戦いたい」と断言。これまでは控えめに目標設定してきたザッケローニ監督が、アジア杯制覇で得た自信を胸に日本を世界の頂点に導く。

 160人のパーティー出席者を前に、慎重な指揮官が最終到達点と言える14年ブラジル大会に向け、大きな目標を打ち立てた。登壇したザッケローニ監督は「14年W杯では(日本が)トップを争える実力のあるチームとして戦いたい」と力強く宣言してみせた。

 思慮深いイタリア人監督にとって、異例の目標設定だ。これまではアジア杯、ブラジルW杯の目標についても「日本が成長し、いい成績を残したい」といった抽象的な表現に終始してきた。だが、大会前から故障者が続出しながら頂点に立ったアジア杯での手応えが、自信につながった。

 日本人の誠実な姿勢が成長につながると確信している。この日もハリウッド映画「ラストサムライ」を例に出し、「(出演していた)トム・クルーズのせりふで『日本人は(目標に)到達するまで1つのジェスチャーを繰り返していく民族』というものがあった。それは成長したいという強い気持ちがあるということ」と話した。

 「サッカーは反復が大事」と強調する指揮官にとって、日本人のコツコツと反復練習するスタイルは相通じる部分がある。

 「日本サッカーは多くの国から注目されている。さらに欧州でプレーする選手の数が増えると思う」と予言した通り、DF長友が名門インテルミラノに移籍。「期待している」と話す18歳のFW宮市もフェイエノールトで定位置を奪取するなど、日本人選手の活躍が目立つ中、「日本のサッカーはこれからも成長する」と言い切った。

 9月からはW杯予選も始まる。ブラジルW杯で優勝争いに加わるためにも、まずはアジア杯後の初の試合となる3月下旬の親善試合2試合が重要となる。「私は国内組、欧州組の区別はしない。欧州組の招集はまだ決めていない。直接対話もしながらギリギリまで考えたい」。目の前の戦力強化の先には、ブラジルでの栄光がある。【菅家大輔】