五輪代表のエースが、世代融合に一役買う。日本サッカー協会は28日、日本代表候補合宿(8月1~3日、札幌)のメンバー23人を発表した。ロンドン五輪出場を目指すU-22(22歳以下)日本代表でもある名古屋FW永井謙佑(22)は、同代表の選手が8人選ばれたことについて、「上の世代にたくさん話を聞かないと」と言及。昨年の南アフリカW杯帯同メンバーだった関係を生かし、先輩と後輩の垣根をなくし、チームと自らのレベルアップを誓った。

 夕暮れまで続いたファンへのサインを終えた永井が、A代表候補選出について明快に話し始めた。

 永井

 うれしいっすよね。考えもしなかったです。上のカテゴリーの人がたくさんいるんで、吸収できるものは多い。自分がイジラレ役になって、どんどん話が聞ければいいですね。

 若手主体だった10年1月のアジア杯予選イエメン戦メンバーで、日本代表に初選出された。当時は福岡大3年で、大学生の選出は18年ぶりの快挙だった。さらに昨年のW杯南アフリカ大会に、帯同メンバーとして参加した。同世代で初選出組の清武、東らより、知己の選手はいる。その強みを生かし、積極的に先輩たちの輪に加わる。自分を起点に2つの世代が合わされば、チーム力の向上になる。

 「固まらないで、どんどんいきたいですね」。食事や移動バスなどでも、同世代で集まらない。宿舎でも部屋にも閉じこもるつもりはない。どんどん上の世代に“仕掛けていく”つもりだ。U-22日本代表でも、積極的にみんなに声をかけ、ムードを盛り上げ、団結力向上に貢献していた。

 個人的な目標も置く。「やっぱり今は五輪を勝ち抜くことですけど、上のレベルでやるチャンスなんてめったにない」。名古屋では3トップのサイドで使われ、50メートル5秒8の快足を生かした持ち味をいまひとつ出せていない。「自分の幅も広がる。直接話を聞きたいですね」。セリエAなどで数々の名FWを見てきたザッケローニ監督の「個人授業」を熱望した。

 週末のリーグ福岡戦は、幼少期から大学まで過ごした地だ。凱旋(がいせん)試合に、母校の福岡大サッカー部の100人近い部員も会場に駆け付ける予定。まだJリーグでは得点を奪っていない。「ゴール、ゴールって言わないでくださいよ。そうすると入らないので」とおどけたが、目は真剣だった。思い出の土地で初ゴールを奪い、その勢いのまま、代表合宿でも“持ち味”を生かす。【阿部健吾】