<W杯アジア3次予選:日本0-1北朝鮮>◇C組◇15日◇金日成競技場

 日本代表(FIFAランク17位)が、平壌で北朝鮮(同124位)に屈辱の完敗を喫した。

 アルベルト・ザッケローニ監督(58)の新戦力テストの収穫はゼロに終わった。タジキスタン戦に勝ち、W杯アジア3次予選突破、最終予選進出を決めている日本は、香川、遠藤らを温存し、清武や細貝らスタメンを6人変更も、内容は乏しい試合だった。

 キックオフ直後、最初のプレーで北朝鮮に左サイドを切り裂かれ、わずか数秒で劣勢の構図ができあがった。前半の好機はMF中村が18分に放ったミドルシュート、46分にMF長谷部がドリブルで切り込みシュートした場面のみ。

 遠藤を脅かす存在として成長が期待される細貝も、前線へパスを供給できない。MF中村を中心にパスサッカーでリズムをつくったのは前半に数分だけ。コンビネーションはかみ合わず、無駄にボールを失い体力を浪費しただけだった。

 22年ぶりの北朝鮮ホーム戦という特殊事情を差し引いても、アウェーでの試合運びに、相変わらず弱い一面をさらけ出した。相手ペースの中、流れを読み手数をかけずに攻め込む状況判断が、遠藤ら主力を欠くとまるで実行できない。

 今回の北朝鮮戦は予選としては消化試合だったが、主力温存しつついかにアウェーで試合の流れをつかむか、という応用力を問われた。選手層の薄さ、個々の能力、連係などあらゆる面で劣っていた。

 中でも失点場面に突きつけられた課題は重い。後半5分、FKからの失点は、18歳の186センチFWパク・クァンリョンにDF栗原が完全に競り負け、さらにこぼれ球に対してカバーに入った駒野もフィジカルで負けて失点した。

 同31分からは3バックに再挑戦し、FWハーフナーを投入。33分には退場者が出て北朝鮮が10人となり、絶好のパワープレーが訪れたが、迫力ある攻撃は影を潜めた。唯一崩したのは、オフサイドの判定ながらMF長谷部-ハーフナー-FW李とつないだ場面だが、ハーフナーの位置取りが悪く、フイにした。

 試合後、清武は「自分たちの戦いをしようとしか考えていなかった。負けてしまったことは悔しい」と言った。最終予選のライバル国に、この淡泊さを露呈したことは大きなマイナス材料。消化試合での敗戦という単純な結果では済まされない。