なでしこ詐欺に気を付けろ!

 サッカー女子日本代表「なでしこジャパン」の人気に便乗した不審なダイレクトメールが送付されていることが12日、分かった。選手と写真撮影などをするイベントの開催をうたい、参加費11万円で勧誘する封書を受け取った福岡県福岡市内の男性が、同県警博多署に通報した。同署によると、差出人となっていたNPO法人は実在せず、日本サッカー協会も佐々木則夫監督(53)や各選手に連絡し調査に乗り出した。差出人の住所には、アジア系外国人とみられる男性が住んでいた。

 不審な封書を受け取ったのは、福岡市内に住む60代の男性。10日に届いた封書の内容に疑問を抱き、翌11日に知人に相談した。封書の中にはA4サイズの紙3枚が入っていた。差出人はNPO法人「なでしこJAPAN

 WOW」と名乗る団体。イベント参加を勧誘する内容だった。

 「写真撮影会とTea

 Party」と題したイベントは、3月に東京、大阪、名古屋をはじめ全国9都市で1日2回開催するとしており、佐々木監督や選手約10人が参加すると明記している。参加者全員に選手のサイン入り色紙とサッカーボールをプレゼントするとしている。1回の定員は60人で、2月21日を締め切りとして、参加費用は11万円。希望者は現金書留で、指定した住所に送るように指示している。住所は、静岡県静岡市内とされており、不審に思った男性の知人が静岡県庁に連絡した。同県庁の県民生活課が調査したところ、実在しない団体であることが判明。12日に博多署に通報した。博多署もあらためて団体が実在しないことを確認。「文書がデタラメであることを周知徹底させたかった」として広報した。同署では「相談は1件だけだが、文書が届いた場合は近くの警察署に届け出てほしい」と呼び掛けている。

 日本サッカー協会も急きょ調査に乗り出した。11日夜に福岡県サッカー協会から連絡を受けると、すぐに佐々木監督や各選手にイベントの有無を含めて確認作業を行った。日本サッカー協会の田嶋幸三副会長は「協会も関与しておらず、監督も選手もそんなイベントは全く知らないと話していました」。12日に都内で行われた理事会の議題にも上がり、今回の封書の存在について、各都道府県協会に注意するように通達した。また、九州で少年サッカーチーム関係者に同じ内容の文書が届いていたことも判明。田嶋副会長は「全くの詐欺。ずさんな内容に憤慨している」と怒り心頭。同協会は警視庁本富士署に通報した。

 団体の住所で、現金書留の送付先となっていたのは古びたマンションの一室だった。この日、部屋の前にはベビーカーが置かれ、ドアノブにはキャラクターの飾り物がぶら下がっていた。インターホンを押すと、アジア系外国人とみられる男性が出てきた。「NPO法人の方ですか?」と聞くと、ジェスチャーを交えながら「分からない」という表情を見せるだけだった。部屋は家族で暮らしている様子にも見えた。静岡県警も調査に乗り出していることも分かった。