横浜FCのFWカズ(三浦知良=45)が30日、横浜市内での練習後に、フットサルW杯タイ大会(11月2日開幕)出場に意欲を見せた。前日29日に同W杯予選を兼ねたアジア選手権(UAE・ドバイ)の準々決勝で、日本はキルギスを1-0で破り、3大会連続4度目のW杯出場を決めた。日本サッカー協会からW杯出場を要請されているカズは、存続の危機に立たされているFリーグ(日本フットサルリーグ)のためにも、前向きに検討する意向を示した。正式なオファーが届き次第、横浜FCと話し合い、早ければ9月中旬の国内合宿から代表ユニホームを着ることになりそうだ。

 W杯に出る。夢の実現に1歩近づき、カズの表情には若々しい笑顔が輝いていた。横浜市内で約1時間半の練習を終えると、緑の芝の上で足を止め、時折表情を引き締めながら、フットサルW杯出場への思いを語った。

 カズ

 そりゃあ、日本代表のユニホームを着るわけですからね。同じW杯と言っても、サッカーとフットサルでは全然違う。それでも、競技者にとっての重みや誇りは、一緒だと思う。

 98年W杯フランス大会直前のスイス合宿で、W杯出場の夢が絶たれた。あれから14年。新たな舞台で夢がかなうかもしれない。競技は違うが、ボールを蹴るプレーヤーとしての情熱は変わらないと強調した。

 1月、エスポラーダ北海道の一員としてFリーグに参戦。その際、ミゲル・ロドリゴ代表監督(41)から、W杯出場の打診を受けていたことも明かした。W杯期間がリーグ戦の終盤に重なり、正式なオファーが来ていない今の段階ではっきりとした答えは出せない。それでも、Fリーグの現状を心配しながら、フットサルへの思いを続けた。

 カズ

 いろいろ厳しいらしいね。リーグ存続自体も危うい状況にあると聞いた。自分がW杯に出ることによってフットサルが盛り上がるのなら、こんなにうれしいことはない。(リーグ存続は)子どもたちにとっても大事なことだから。

 Fリーグは観客動員が伸び悩み、スポンサーの撤退も相次ぐ。カズは1月の参戦で競技の認知度向上に貢献したが、日本全国のプレーヤーのため、未来の選手たちに夢を与えるため、まだまだ“支援”が必要だと考える。

 横浜FCにとっては重要な戦力。クラブでの働きをおろそかにはできない。それでも今後クラブと交渉する。日本代表は10月15日から海外遠征を予定。カズはここからの帯同が濃厚だが、早ければ9月10日から3日間を予定する国内合宿で招集される可能性もある。

 カズ

 今は約束はできないけど、いろんな人と話し合って、最善策を考えていきたい。9月にも合宿があるということなので、それまでには決めたい。

 サッカー界のキングが熱いハートを胸に、再び栄光の舞台を目指す。【由本裕貴】

 ◆W杯タイ大会

 24チームが出場。アジア4、南米4、アフリカ3、オセアニア1、欧州7、北中米カリブ海4、主催国タイ。1組4チームの6組に分かれ1次リーグを行い、上位2チームと3位の成績上位4チームが決勝トーナメント進出。11月2日に開幕し、同18日決勝。