ザックジャパンが決戦3日前に異例の緊急マッチを組んだ。今日31日、埼玉県内で大学生を相手に非公開の練習試合を行う。6月3日のW杯アジア最終予選初戦、オマーン戦(埼玉)を3日後に控えた重要な時期に、練習試合を組むのは過去の代表でも極めて珍しい。30日に埼玉県内で行われた練習も守備を中心に約2時間半にも及んだ。アルベルト・ザッケローニ監督(59)はじめ、チーム全体に緊張感が張り詰めてきた。

 まさかの練習試合が、本番直前に決まった。ザッケローニ監督の希望で、オマーン戦の3日前に当初は予定になかった大学生との練習試合が急きょ組まれた。ジーコ、岡田監督時代にも、これほど試合直前に練習試合が入ることはない。W杯最終予選を経験したことのない同監督は、大一番に向けて想像以上の重圧を感じているのかもしれない。

 30日の練習も約2時間半にも及んだ。夜間照明がついたピッチで、守備練習中心のオマーン対策が行われた。練習を途中で止め、監督が戦術の説明をする場面が多くあったという。監督らがバスに乗り込む頃には、辺りは夕闇に包まれていた。FW香川は「監督を中心にどういうサッカーをするのかは話した。相手は(ボールを)蹴ってくる守りのサッカーをしてくると思う。ウイークポイントも出てくるはずなので、うまく突いてやりたい」とオマーン対策を話した。

 31日の練習試合を入れると9日間で3試合をこなす過密スケジュールになる。23日はアゼルバイジャンと親善試合をこなし、27日には海外組のコンディション調整のため浦和ユースと練習試合をしたばかり。40分ハーフを2本行い、体の重さを訴える選手もいたほどだ。それでも、さらに大学生を仮想オマーンに見立てて、戦術を再チェックする。香川は「ボールをもらってからが勝負になる。攻撃では距離感やコンビネーション、連係が大事。うまく回しながら、いつ仕掛けるか。すべてを明日の試合で試したい」と話した。本番ぎりぎりまで戦術を確認し、実戦を積むことで連係を深めていくつもりだ。

 ザッケローニ監督は28日には「相手を怖がるようなことは、全くない。怖がるようなことは(今後)1度もない」と強気な発言をしていた。一方で、練習は冒頭15分のみの公開が続いている。練習試合で迷いを振り切って、本番を迎える。【保坂恭子】