日本代表FW香川真司(23=マンチェスターU)が、ずぶとくゴールを狙う。今日15日の親善試合ベネズエラ戦(札幌ドーム)に向けた前日練習後「代表ではメンタルのところが一番大事」と精神面を強調した。海外で3シーズン目を迎える今、ドイツや英国で目の当たりにした外国人のタフなメンタルを参考にして、プレッシャーなど精神面での不安要素を一掃する。また、Jリーグ時代から相性のいい北の大地でゴールを宣言した。

 頭の中のストレスを振り払った。冒頭15分をのぞき完全非公開での全体練習後、香川はスパイクを脱いだ。札幌ドームの輪郭に沿うようにドリブルそしてキック。初日の練習に引き続き、リラックスするようにクールダウンで体をほぐした。帰国からわずか2日の練習で迎えるベネズエラ戦。香川は「すべていい流れできている。継続して強い相手とどこまでやれるか楽しみ」。ただ、前向きに試合を迎えるだけだ。

 不安要素もずぶとく、乗り切る。海外組中心の現代表にとって、移動、時差ボケは常につきまとう懸念材料。欧州時間に慣れた体内時計を2日間で戻すことは、至難の業。実際に「今回はまだ寝られている方だけど、やっぱ夜中に起きてしまう。そのことをストレスにしてしまうのが、一番したくない」と感じている。ただ「そのまま寝続けますけどね」と意に介さない強さが、今の香川にはある。

 海外3年目。日本人1人で過ごした日々は、自然と成長をともなう。「代表ではメンタルのところが一番大事。外国の人は日本人みたいに細かくない。僕らは神経質なところもある。それが良さでもあるけど、そういうずぶといところを、見習いたい」。ストレスをストレスと感じない心。逆境を逆境と思わない思考。日本を飛び出した海外で、戦う力を身に付けてきた。こわいものは、もうない。

 このポジティブシンキングを後押しするのが、北の大地。C大阪時代から昨年8月の韓国戦まで、札幌ドームでの試合は3戦3発も決めている。「ここで得点できるイメージがある。また違った雰囲気で、感覚的にいいスタジアムだと思っている」。言い聞かせているのではない。心から感じる自信。ずぶとい心は、こうも香川をたくましくする。【栗田成芳】