【ソウル20日】日本代表FW柿谷曜一朗(23=C大阪)が今日21日の中国戦で代表デビュー戦ゴールを決め、ザックジャパンへの生き残りを狙う。初戦となる中国戦では、1トップとしての先発が濃厚。07年のU-17W杯では1次リーグ敗退となった因縁の地・韓国で、7年越しのリベンジを果たし、ライバルの多い攻撃陣のポジション争いに殴り込みをかける。

 心の準備は整った。時折雨が降りつける中、練習で1トップとしてプレーしたFW柿谷は、代表デビュー戦を翌日に控え、得意のジョークを封印し、落ち着いた口調で思いを語った。

 「いつも通りプレーしたい。一番前で出るので、ゴールに絡むプレーを増やしていきたい。全員が思いきってやれば(得点は)取れると思う」

 トップ下を務めることが濃厚な高萩との連係にも不安はない。「スルーパスのタイミングや強さが最高のボールが来るので、動きだし次第で得点のチャンスも増える。(各年代を含めて)代表戦は久しぶりだが、プレッシャーに負けず、自分らしく一生懸命やりたい」と、史上26人目のA代表デビュー戦ゴールを狙う。

 過去、中国戦は反則スレスレのラフプレーを仕掛けられることが多いが、柿谷はあくまで冷静。「僕ら日本人は常に冷静でいたい。でも、やられた時はやり返す気持ちは全員が持っていると思う」と話した。

 韓国は07年にU-17W杯で日本のエースとして2得点を挙げながら、1次リーグで敗退した因縁の場所だ。「韓国は屈辱の地。予選で敗退しているし、いい印象はないが、前のことは気にせずやりたい」と、6年の月日を経て、今度はA代表でリベンジを果たす。

 日本代表に選出され、注目度も増すにつれ、周囲も騒がしくなってきた。イタリアではこの日、インターネットサイト・ツットメルカートが、セリエAのトリノ、セリエBのシエナ、エンポリ、ユーヴェ・スタビアの4チームが柿谷の獲得に興味を示していると報じた。

 C大阪関係者によると「オファーは届いていない」といい、柿谷も「今年はC大阪を優勝させることしか考えていない」と話しており、今夏移籍の可能性は低い。海外への思いは封印し、目指すはW杯出場。16歳のプロ入り時から天才と呼ばれ続けた23歳は、ようやく巡ってきたアピールチャンスで結果を残し、日本代表に定着する。【福岡吉央】