【ゲンク(ベルギー)17日】「勝算はある」!

 日本代表のMF本田圭佑(27=CSKAモスクワ)が、FIFAランク5位の強敵から金星を誓った。2-2で引き分けたオランダ戦から一夜明け、この日は19日(日本時間20日未明)のベルギー戦に向け現地で調整した。同点弾を挙げた本田は今合宿で初めて口を開き「相手は評価が高いだけ。(日本と)いい勝負だ」と強気に言い放った。公言する世界一へ、まずは優勝候補に一泡吹かせる。同代表は練習後、試合会場となるブリュッセルへ移動した。

 ゆっくりとした足取りで取材エリアを通り過ぎようとした本田が突然、足を止めた。すぐ目の前には、見学に訪れた現地在住の日本人学校の生徒約150人が、目を輝かせている。「ベルギーの話をしたい」。自らそう切り出すと、次の瞬間、大勢の報道陣が山のように集まった。本田の口元には、数え切れないほどのマイクが突き出される。今合宿で初めて語った時間は10分超。去り際の言葉は、特に強気だった。

 「ベルギーは評価だけ高い。歴史のある国ではないんでね。(日本と)いい勝負だと思いますね。結局あれだけ評価が高くても、コロンビアに負けましたから。彼らはどうやって大会(W杯)を勝ち上がっていくかを考えている。(立ち位置は)日本と同じですよ」

 中2日で迎える相手は、近年急成長を遂げた14年W杯の優勝候補だ。アザール(チェルシー)やフェライニ(マンU)らを擁し、欧州予選を無敗(8勝2分け)で突破。FIFAランクはブラジル(11位)やイングランド(10位)オランダ(8位)よりも高い5位だ。一方でW杯最高順位は86年大会の4強止まり。それらを踏まえて「評価だけ高い」と言った。14日に現地で行われ、ベルギーが0-2で1年ぶりの黒星を喫したコロンビア戦をテレビ観戦。既に、頭には攻略法を描いている。

 「試合(コロンビア戦)を見たんでね。うち(日本)とやったら、こうなるというのはあります。簡単ではないけれど、勝算はある。相手がどこだろうが、常に勝算はあります」

 日本を完全復調させるために白星が欲しい。前日16日オランダ戦は、自身のゴールで引き分けに持ち込んだ。中2日で再び強敵と対戦する。W杯本大会と同じイメージを、本田は抱く。

 「ポイントは中2日ですね。W杯でもこういうこと(日程)はあるから。(中4日の)向こうは僕らより長い。(疲労の影響で)動き的な問題で、差が出るかも知れない。そこを臨機応変に、グラウンドでやれるか。それが難しいところでしょうね。こういう試合は内容と結果、両方が大事」

 オランダに引き分けたくらいで、満足してはいけない。チーム内に慢心が出ないよう、あえて本田は口を開いた。強敵ベルギーに勝つ!

 その先に初めて、希望の光が差し込んでくる。【益子浩一】

 ◆近年のベルギー代表

 昨年8月15日の親善試合オランダ戦に4-2で勝利してから、16戦でわずか2敗しかしていない。80~90年代にかけ、欧州随一のプレーメーカーといわれたMFシーフォ(アンデルレヒトなどで活躍)が代表の中心だった。その時以来の黄金時代到来と言われている。中でも攻撃陣にイキのいい若手が多い。アザール、デブライネという左右の高速ドリブラーがサイドを駆け上がり、中央には193センチ、94キロの屈強な体を持つセンターFWルカクが控える。