【シンガポール12日=益子浩一、高橋悟史、栗田成芳】ブンデスリーガの得点王争いのトップに立つFW岡崎慎司(28=マインツ)が、王国を「一発必中」で仕留める。日本代表は明日14日のブラジル戦に向けて現地で練習を開始した。過去南米の3カ国から得点をマークする「南米キラー」岡崎は少ない好機の中で得点を狙う。ブラジルのエースFWネイマール(22=バルセロナ)との対決で、ブンデスNO・1の決定力を見せる。

 赤道直下のシンガポールで、点取り屋のプライドがうずいた。高温多湿の気候の中、練習から引き揚げる岡崎は額に汗を浮かべながら宣言した。「1発のチャンスで決めて、チームを楽にする。最近ずっと考えていること。どれだけその力を出せるか。守備に参加しないといけない時間帯もあるけど、瞬間を逃さない」。劣勢が予想される王国・ブラジルとの一戦で、限られたチャンスをものにする「一発必中」にかける。

 その実力は、今季ブンデスリーガで6戦5発、得点ランク単独トップという結果で証明している。対するブラジルにはスペインリーグで6戦7発のネイマールがいる。知名度では及ばないが、岡崎は南米相手に得点力を発揮してきた実績がある。これまで日本代表でチリ、アルゼンチン、コロンビアからゴール。南米3カ国からの得点は本田に並ぶ2位タイ。王国相手に決めれば、最多4カ国のカズに並ぶ「南米キラー」となる。

 舞台となる国立競技場のピッチは荒れている。天然芝と人工芝のピッチで開閉式のドーム型。日照時間が少なく天然芝が育っていない。ユベントスの親善試合が行われた8月にスタッフを派遣した日本協会は改善を要請。スタジアム側は電灯を照射する応急処置を行うほどだ。そんな悪条件にも岡崎は「条件はブラジルも同じ」と意に介さない。

 パスサッカーだけでなく、堅守速攻でのカウンターも展開するアギーレジャパンにとって、対応力も問われる。10番の香川不在での戦いにも「いないときにどれだけできるかチーム力で士気を高める。みんなそういう意識で臨む」と岡崎は言い切った。周囲の環境や条件にはとらわれない。一発必中で仕留める。【栗田成芳】