【セスノック(オーストラリア)3日=高橋悟史、栗田成芳】日本代表ハビエル・アギーレ監督(56)が、オーストラリアの国営放送局ABCからシドニー空港で直撃取材を受けた。マイクを向けたキャスターは、八百長疑惑について質問。指揮官は答えることはなかったが、バスに乗り込む直前までマイクとカメラを向けられ続けた。チームは夕方から、直前合宿地のニューサウスウェールズ州セスノック市内のグラウンドで練習を行った。

 出国ゲートから姿を現したアギーレ監督は、美人リポーターにマイクを突きつけられた。同時にカメラマンが至近距離から撮り続ける。寒い日本から、蒸し暑いシドニーに到着。スーツ姿で汗を流しながらファンのサインや写真撮影に応えつつ、バスに乗る3メートル手前まで現地メディアに追い掛けられた。

 途中で二言ほど口を開いた。明確に聞き取れなかったが、取材を断ったとみられる。スタッフが割って入るまで攻勢は続いた。リポーターとカメラマンは、格式高いオーストラリアの国営放送「ABC」のクルー。八百長疑惑に揺れる中、いきなり好奇の目にさらされた。

 同局のクレア・エアドキャスターは「監督にはスペインリーグでの八百長疑惑があるし、そのことをぜひ聞きたかった」と突撃取材の意図を説明。「もちろん日本は優勝候補。欧州のビッグクラブで活躍する選手もいるので、到着直後から取材するのは当然」と日本の力も素直に評価した。普段は、火災など災害にも足を運ぶキャスターも、じっとしてはいられなかった様子だ。

 冒頭15分だけが公開された夕方からの練習で、監督は紺色の帽子にハーフパンツのいつも通りの格好で指示を送った。国内合宿中、疑惑について他国メディアから質問されたケースについて「どうなるかは分からない。ただ私は戦える。アジア杯で優勝したいと強く思う。メディアの方々の仕事を尊重しつつ、アジア杯に集中するだけ」と話していた。洗礼にも完全無視を決め込むのではなく、対応する余裕は見せた。選手の前に、監督が精神面の強さを試された。