どつき合って、ねじ伏せろ-。G大阪の西野監督は公式会見で「点取り合戦」を宣言した。「1-0で勝とうとは考えていない。浦和も0-0(に持ち込もう)とは考えていないだろう。どちらが2点を取る試合をイメージしているかだ。戦い方ははっきりしている」。ライバル浦和を得意の土俵に引きずり込むための挑戦状だった。

 選手にもその考えを伝えた。この日の移動の間、万博で行った約30分間のミーティングで「強気な気持ちを持つことだ。全員がその共通理解を持て!」と熱く語りかけた。02年のG大阪監督就任以来、浦和とは公式戦20試合を行い、完封したのは2度だけ。点の取り合いに持ち込んだ方がいい。2点以上奪い、アウェーゴールで浦和を追い詰めるシナリオだ。

 浦和西高時代まで育った故郷で、大一番に臨む。スタジアムに近い病院では、母照子さん(79)が約1週間前にひざの手術を受け、入院中だ。いつも祈るような思いで応援してくれている。「それはそれは気にしてくれてるよ。いろんな人が(G大阪の結果を)言ってるんじゃないかな」。試合を見に来ることはできないが「(病室のテレビで)見てくれると思うよ」。決勝切符で、病床の母を元気づけるつもりだ。

 06年のリーグ最終節浦和戦は埼玉で2-3と敗れ、目の前で優勝を決められた。悔しさが詰まった会場で死闘を制し、リベンジしたい。「この試合を目標にしてきた」という指揮官はその瞬間まで、攻めの姿勢を貫き通す覚悟だ。【北村泰彦】