G大阪が決定力不足で、決勝トーナメント進出に黄色信号が灯った。アウェー城南戦は0-2の完敗。エースFW宇佐美貴史(22)を“温存”で先発から外し、攻撃陣が空回り。2連敗スタートとなりF組最下位から抜け出せなかった。08年以来のアジア制覇どころか、1次リーグ突破すら暗雲が漂った。

 敵地韓国の冷たい風が、身に染みた。気温3度。いてつくピッチで、百戦錬磨のMF遠藤保仁(35)は悔しそうに立ち尽くした。まさかの今大会2連敗発進。前半8分にPKで先制を許すと、フィールド選手10人中8人で守備ブロックを固めた相手を最後まで崩せなかった。後半22分にはクリアボールを拾われて失点。したたかな戦いを挑んでくる相手に、きれいなパスサッカーだけでは勝てない現実を知った。

 これがアジアの壁か。初戦の広州富力戦(2月24日)から2戦計無得点。長谷川健太監督(49)は「2試合終わって勝ち点0。非常に厳しい状況にいるのは間違いない。開始すぐの失点が結果に大きな影響を与えた」と指摘した。同じく2連敗スタートの12年は無残なまでに1次リーグ敗退。10年5月11日の決勝トーナメント初戦で0-3で大敗した因縁の相手城南に返り討ちにあった現実は、あまりに痛い。

 この大会に懸けていた。今季始動から長谷川監督は「敵地の笛」を想定。練習で反則まがいの厳しい接触があっても一切、プレーを止めなかった。アジアは厳しい戦いになると覚悟はしたが、予想を超えた険しい道のりに直面した。遠藤は「時には強引に行くことも必要だし、攻撃で工夫とチャレンジをしないといけない」。GK東口も「球際の厳しさが(相手と)全然違った」と振り返った。

 今季初タイトルをつかんだ2月28日のゼロックス杯浦和戦から中2日。喜びは一瞬で吹き飛んだ。1月のアジア杯で準々決勝敗退した日本代表と同様、アジアで勝つ“したたかさ”が足りない。このままでは3冠王者の名に傷が付く。【城南(韓国)=益子浩一】