G組の浦和はホームでブリスベン(オーストラリア)に敗れた。前半3分の失点を取り返せず、2連敗で最下位に沈んだ。7日のJ1開幕(アウェー湘南戦)を前にACLと富士ゼロックス・スーパー杯で公式戦3戦全敗。大ブーイングを浴びた主将のMF阿部勇樹(33)はスタンドのサポーターに歩み寄り、巻き返しを約束した。

 目に涙をためた主将の阿部は、クラブスタッフの制止を振り払ってゴール裏の看板を飛び越えた。右手の人さし指で「1」を表しながら、大声で叫んだ。「1つ勝つまで、応援してほしい! 一緒に戦って行こう!」。間近で後押しを訴えた。そしてサポーターからは、阿部の応援歌が沸き起こった。

 前半3分、自陣ペナルティーエリアの近くでボールを奪われ、そのまま先制点を決められた。今季初めてFWズラタン、FW興梠の2トップで臨んだが、前半はシュート2本のみ。後半からMF梅崎、FW石原が出場して攻勢を仕掛けたが同6分、相手FWを引っ張って倒した守備の要、DF那須が1発で退場。その後は10人で反撃を狙ったが、1点が遠かった。

 試合後、選手は大きなブーイングを浴びながらピッチを去った。阿部はインタビューを受けており、1人遅れてスタンドへ。その途中、熱い思いがこみ上げた。ACL1次リーグ第1戦の水原戦(1●2)、富士ゼロックス・スーパー杯G大阪戦(0●2)、そしてブリスベン戦と公式戦3連敗。「熱くなってしまったことは反省している。負けていて、ブーイングは当然。まず1つ勝たないと意味がない」と慎重に話した。

 下を向いている時間はない。3日後にはリーグ開幕の湘南戦がある。「次は必ず勝つとサポーターと約束をした。全力を尽くします」。決意の約束を、破るわけにはいかない。【保坂恭子】