山形が開幕2連敗を喫し、単独最下位に転落した。アウェーで浦和相手に5バック気味の布陣で守備を固め、GK山岸範宏(36)を中心に猛攻をしのいだが、後半38分に強烈なミドルシュートを決められて0-1。2戦連続無得点と攻撃にも大きな課題を残し、試練の船出となった。

 懸命に耐えていた山形が、一撃に沈んだ。後半38分、ゴール前でDF舩津が相手のクロスをはね返したが、こぼれ球を浦和MF阿部がダイレクトでミドルシュート。古巣との対戦に燃えていた山岸も懸命に手を伸ばしたが、ゴールに突き刺さった。1点に泣いた守護神は「一般的に素晴らしいゴールと言われると思うけど、失点はミスが重なって起きるもの。ボールの失い方やクロスの対応が良くなかった」と悔しがった。

 特別な思いを胸に臨んだ一戦だっただけに、勝ちたかった。山岸は浦和戦に向けた練習の中で、昨季途中まで同僚だった相手の特長を、山形の選手たちに伝えていた。中盤にアルセウ、松岡、宮阪のボランチ3人を並べる守備に重点を置いた新布陣も機能し、浦和が狙う危険な位置への縦パスを入れさせなかった。押し込まれながらも大きなピンチは数えるほどに抑えても「無失点で終われたら充実感はあったかもしれないが、結果がすべて」と唇をかんだ。

 守備面では手応えをつかんだが、2試合連続の完封負け。石崎信弘監督(57)は「DF陣はよく頑張って役割を果たしてくれたが、ボールを奪った後の精度やアイデアが足りなかった」と攻撃面での課題を口にした。後半27分に故障明けのFW川西が途中出場してチャンスもつくったが、シュートわずか4本。指揮官が「J2ではできたことが、J1ではできない」と言うように、レベルの違いは歴然だった。

 さらに大きな誤算もあった。仙台との開幕戦で左膝靱帯(じんたい)を損傷して離脱したDF山田に代わって右ウイングバックで初先発したDF宇佐美が、後半16分に接触プレーで右膝を負傷。自力では歩けず、スタッフに抱きかかえられてピッチを去った。右膝を手術するDF渡辺も含め、2試合で守備陣に故障者が続出。試練は続くが、18日のナビスコ杯清水、22日のリーグ川崎Fと続くホーム2連戦で念願の勝利をつかむしかない。【鹿野雄太】