仙台はアウェーで横浜と対戦し、引き分けた。両者無失点で迎えた後半22分にDF鎌田次郎(29)のスーパーボレーで先制するも、ロスタイムに失点し、痛み分け。勝ち点3は奪えなかったが、リーグ戦負けなしを5に伸ばした。

 「自分でも驚くゴールだった」。守備職人の鎌田が、観客2万人超えの敵地で豪快なボレーシュートを決めた。0-0の後半22分だ。FWウイルソンからの短めのクロスに合わせて跳び上がり、空中で右足を振り抜いた。最終ラインの「門番」である鎌田が、ゴール前まで上がっての奇襲で自身今季公式戦2号。この日欠場となったDF菅井ばりの「何でここにいるんだ攻撃」で相手ゴールを割った。

 これには渡辺監督も「菅井がいないだけに、あの場面で、たまには違う選手が出てくるのかなと思ったら鎌田でした」と笑った。対横浜対策として、さまざまなパターンのクロスを放つ反復練習をしてきた成果が形になった。渡辺流「堅守賢攻」の「1つのバリエーションとして今後も表現していければ」。鎌田も「練習通りにウイルソンからパスが来た。練習では入らなかったが、決まって良かった」と笑顔で振り返った。

 しかし甘くはなかった。終了間際、横浜MFファビオに同点ゴールを決められてドロー。ちょうど1年前に就任直後の渡辺監督と“初勝利”を挙げた場所だったこともあり、鎌田にとっても思い入れのあるアウェー横浜戦。「ナベさんの1周年は聞いていたし、縁起の良い場所でもあるので、勝ち点3を持って帰れれば良かったんですが…」と唇をかんだ。

 この悔しさと課題は今後に生かす。渡辺監督は「勝ち点を持ち帰れたことはポジティブに考え、決して下を向く必要はない。勝ちきるという宿題を乗り越えられれば、もっと強く手堅い仙台になれる」。まだ先は長い。1戦ずつ勝ち点を積み重ね、上を目指していく。【成田光季】