横浜F・マリノスは17日、川崎フロンターレとの神奈川ダービーに向け、横須賀市のクラブ施設でトレーニングを実施した。冒頭の15分だけ公開されたウオーミングアップ、そのパス・アンド・コントロールの途中で大島秀夫監督(46)が怒気を込めて大声を張り上げた。

「もっと集中してやれ!」「この1本が大事なんだ!」

温厚な指導者がメディアのいるところで厳しい物言いをすることは珍しい。

3月22日の川崎F戦を5-0で大勝したが、その後は柏レイソルに0-3、FC東京に1-3と連敗。しかもミスを突かれ、あえなく失点する傾向は強い。

1本のイージーミスは練習グラウンドから始まっている。そう言わんばかりの言動だった。その後のトレーニングでは周囲のコーチが声を張り上げ、手をたたき、選手たちを追い込んでいた。スタッフが意図的に雰囲気を変え、もり立てようとしていた。

非公開となった練習後に大島監督は取材に応じ、こう話した。

「明日に向けてもちろんそうだし、もっと集中して緊張感のある練習を毎日しないといけない。それは選手だけが作るものじゃないし、僕らコーチングスタッフの責任もあるところ。やっぱり違う空気だったなって感じましたし、それはスタッフの中でも昨日話をしていた中だったので、明日の試合に向けて必要なことだった」

大島監督はコーチ時代の21年ポステコグルー政権を皮切りに、歴代の勝負師たちが作り出す空気感を体感している。

「雰囲気がすべてではないですけど、パスの練習で平気でミスが起こっても何も思わないというと、結局それがゲームに出ていたわけだし、そういうところの重みを感じないといけない。それが当たり前になれば、そのミスは絶対に減ると僕は思っている。リラックスは全然いいと思うけど、その代わりに質は高まっていないといけない。その両方のところで(選手たちに)少し言い聞かせました」

そんな指揮官の思いは選手にも届いているようだ。開幕戦から10試合すべてに先発出場しているMF山根陸は「あれはメッセージだと思います」。そう口にした上で「シンプルに個の戦いのところもそうですし、やっぱり(ボールの)奪われ方とかカウンターの食らい方っていうのは悪い時もある。細かいところをしっかり修正していかないといけない」と話した。

個々を見れば能力の高い選手がそろう。勢いに乗れば5-0という試合もできる。一方で1つのイージーミスをきっかけにズルズルと自滅してしまう。

特効薬はない。日々の積み重ねがすべてとなる。大島監督からの期待も厚い山根は「もう練習の中からチーム全体の空気っていうところの細かいところだったり、1本のパス、1つのプレー、そこからだと思います」と強調した。

前回の対戦で惨敗を喫した川崎Fは、倍返しとばかりにのみ込みにかかってくる。そういった意味では横浜にとって今後への試金石となるカードだ。大島監督も「本当に立ち上がりから集中してパワーを出していかないと痛い目に遭う」。

言うは易し行うは難(かた)し-。今季のJ1百年構想リーグは東地区9位。昨年から続く不振を振り払うべく、マリノスの本気が試されている。【佐藤隆志】