J2札幌がFW都倉賢(28)の決勝点で水戸を下し、5試合ぶりの白星を挙げた。都倉はFWナザリト(24)の出場停止を受け、今季初めて3トップ中央で先発。前半41分にヘディングで先制すると、前線からの献身的守備でも奮闘し、今季初の完封勝利に導いた。チームは4月初勝利で3勝3分け2敗。勝ち点を2ケタ12に伸ばし、10位に順位を上げた。

 慣れた最前線で、背番9が躍動した。前半41分、左DF福森の左からのクロスを、都倉がファーサイドに流れながらヘディングシュート。「福森はいいボールを入れてくれるから、マークさえはがせればフリーになれる」。重心を後ろに流しながらの難しいプレーだったが、思い切り首を縦に振り、ゴール右にねじ込んだ。

 水戸GK本間が倒れこみながらかき出したため、FW内村が念のため詰めた。最初のアナウンスは内村の得点だったがその後、訂正。「内村さんから、トクのゴールだよと言われ、入っていたと分かった。FWの一番前に入って点が取れたのは、個人的にもうれしいこと」と喜んだ。

 今季は自身の定位置を助っ人に譲り、チーム戦術に徹してきた。昨年12月8日、クラブがナザリトと仮契約を結んだ同じ日に、都倉も今季の契約延長に合意した。チームトップ14点を挙げるも、その上をいく34戦17発の強力助っ人が入ることを知り、立ち位置を理解。キャンプで3トップ中央のナザリトを日々「ナザ、ナイス!」と勇気づけ、その左右で守備のため、献身的にボールを追った。

 7戦5発の主砲不在を受け定位置“復帰”。3-4-3の3トップ中央で出た試合は、昨季から10戦9発と、爆発力は健在だ。守備でも奮闘し2戦連続無失点に貢献した。「同じ無失点でも讃岐戦のときとは別物。リスクを負いながら相手をつぶし、いい攻撃につながった。いい連動をすれば、結果が出る」と手応えを口にした。

 神戸を退団した13年オフ、海外移籍を視野にデンマークでのトライアウトに挑戦。出国前に愛車レンジローバーを売ってしまい、札幌では、夫人が使うルノーのファミリー仕様のワゴン車で出勤している。「自分の車を買う予定はないです。J1に上がったら考えます」。得点すれば13戦11勝2分け無敗のムードメーカーは、まだまだ量産し、昇格とマイカー購入のダブル達成を狙う。【永野高輔】