J2札幌は岡山に競り勝ち、今季初の連勝を決めた。前半ロスタイム2分にMF宮沢裕樹(25)が強烈なミドルシュートを決め、その1点を守りきった。今季初の3試合連続無失点、2試合連続完封勝利。バルバ体制で初の2試合連続1-0勝利で堅実に勝ち点3を取るスタイルが確立してきた。順位は10位のままだが、2週で5戦の過密日程初戦を幸先よく踏み出した。

 ボランチの意表を突く一撃が、難敵討ちにつながった。0-0の前半ロスタイム2分、左サイドで福森からの縦パスを受けた宮沢が、反転して右足を振り抜いた。「コースはあそこしかなかった。時間帯もあったので、思い切って打った」。インステップにジャストミートしたシュートは、一瞬でゴール左上に突き刺さる貴重な決勝点となった。

 前回まで4連敗と鬼門だったアウェー岡山戦は、09年9月23日以来2041日ぶりの白星。バルバ体制での2試合連続完封勝利は昨年10月19日富山戦、同26日湘南戦で記録も、1-0での連続勝利は初となった。確実に1点を守り抜く粘り強さに指揮官は「チーム全体が連動した守備ができた。非常にいい流れだった」と喜んだ。

 苦しむ10番が“土俵際”で結果を出した。前節の水戸戦後、野々村社長がバルバリッチ監督にある提案をした。ボランチで連続出場も消極的なプレーが多く、前を向いた仕掛けが減っていたこともあり「代えた方がいいのでは」と、ショック療法を持ち出した。それでも指揮官は、守備での危機察知能力と少ないタッチでボールを動かせる点を買い、使い続けた。

 そんな監督の期待に応え、この日は得点だけでなく、タイムリーな縦パスや攻撃参加も積極的に披露。指揮官は「中盤での位置取りやシンプルなプレーなどシュート以外にも彼の良さが出ていた」と称賛した。

 13年3月24日福岡戦以来、2年ぶりの決勝ゴールに「開幕からここまで出遅れた感じだったけど、1ついい結果を出せた。ここからもっといいプレーを出していきたい」と前を向いた。今季は42試合フル出場を目標に掲げるも、熊本合宿中に右ふくらはぎを負傷し開幕戦を棒に振った。初出場した3月15日長崎戦は2度の警告を受け退場。もう災難は終わり。値千金の“連勝弾”を皮切りに、運呼ぶ10番へと、変身する。【永野高輔】