内村マルチ弾で13戦ぶり勝利! J2札幌は、リーグ再開初戦で横浜FCを下し、6月14日岐阜戦以来90日ぶりの勝利を挙げた。前半29分にMF小野伸二(35)のFKをFW内村圭宏(31)がヘッドで押し込み先制。内村は後半4分にも2点目を決め、ホームでは5月3日磐田戦以来20試合ぶりの勝ち点3に貢献した。9勝14分け8敗で、勝ち点を41に伸ばした。

 天才が描いた軌道に、内村の嗅覚が反応した。0-0の前半29分、MF小野の右からのFKを、逆サイドに走り込みヘッドで合わせた。「練習していた形。(小野を)信じて中に入ったら(ゴールに)入った」。後半4分には、FWナザリトが前線でボールを奪い左から持ち込むと、中央に抜けだしパスを受け、右足でゴールに突き刺した。

 四方田体制ではリーグ6戦目で初の複数得点。指揮官は「内村はこれまでチャンスをつくっても決めきれないでいたので、複数決めてくれたのは良かった」と喜んだ。内村自身、昨年3月22日北九州戦以来1年半ぶりのマルチ弾。3回戦進出を果たした天皇杯2戦は、右内転筋痛で欠場していただけに「自分が出たときに勝てないのは気持ち悪かったので、気持ちが入っていた」と振り返った。

 生え際がカギだった。30代になり額の頭髪の薄さを気にかけていた。8月24日に31歳の誕生日を迎えるとファンから「額を気にしてチャンスを逃さないように」と育毛シャンプーが贈られ、真摯(しんし)に毛根ケア。心配事から放たれ、活力を取り戻した額が、31歳1号を生み出した。

 前節熊本戦まで、3戦シュート9本ノーゴール。その熊本戦後、2トップを組んだナザリトから「俺たち、1点とれば、どんどん取れるようになるよ」と励まされた。2点目は、そのナザリトのお膳立てだった。「いいパスをくれた。ごっつぁんです」。6歳年下のいかつい弟分のゲキに、シュート2本で2発と、高い決定力で応えた。

 「これで味をしめて毎試合点を取れるように欲を出していきたい」。昨年12月に結婚した夫人が観戦した試合では初の複数弾を挙げ、6ゴールに伸ばした。チーム得点順位はナザリトを抜き2位に浮上。11年昇格時は9月からの3カ月で8ゴールと荒稼ぎした13番が、今季も勝負の秋から量産態勢に入る。【永野高輔】