手倉森ジャパンの秘密兵器となりうる攻撃的サイドバック(SB)がベールを脱いだ。柏の伊東純也(22)が右SBで先発し、抜群のスピードを生かし、右サイドで存在感を発揮した。

 0-1の後半19分、約30メートルドリブルで同点ゴールの起点となった。自陣ぺナルティーエリア付近でボールを受け取ると「前にスペースがあった」。50メートル走は「測ったことない」と素っ気ないが、応援歌に「やたらと速い」と入るほどの快足を飛ばし、センターサークル付近まで駆け上がった。

 SBでプレーするようになってまだ3週間。昨季所属の甲府ではFWで、昨年11月の手倉森ジャパンの代表候補合宿に招集されたが、2月のキャンプ初日に現役時代にSBだったメンデス監督から転向を命じられた。シャルケ内田の動画を見て勉強中の守備面は「ドリブルで抜かれる場面があった」と納得していないが、「攻撃的な部分では良かった」と手応えもつかんだ。

 手倉森ジャパンでは、アジア五輪最終予選で活躍した右SBの室屋(東京)が左足骨折で全治3カ月となり、本番まで全快となるかは微妙。伊東は「まずは1戦1戦結果を残すだけ」と色気は見せないが、視察したU-23日本代表の秋葉コーチは「面白いね」と高く評価。粗削りだが、スケールの大きなスピードスターが出てきた。【上田悠太】

 ◆伊東純也(いとう・じゅんや)1993年(平5)3月9日、神奈川県生まれ。神奈川・逗葉高-神奈川大を経て15年に甲府入り。昨季はJ1で30試合4得点。「甲府のスピードスター」と呼ばれる活躍でJ1残留に貢献。オフに柏に完全移籍した。登録は昨季と同じFWのまま。176センチ、68キロ。