J2札幌MF深井一希(21)が「3・11」の誓いを立てた。東日本大震災から5年となった11日、21度目の誕生日を迎えた。明日13日ホーム開幕愛媛戦(午後1時、札幌ドーム)は2戦連続の先発が濃厚。自身初の本拠開幕へ「誕生日に、多くの人が亡くなった事実は何年たっても変わらない。その人たちの分まで、人生やサッカーを、全力でやりきらないといけない」と気を引き締めた。

 11年3月11日、札幌拓北高で授業を受けているときに震災が起きた。大きな被害に遭ったわけではないが、1歳年を取るたび、重い現実に向き合うよう心がけてきた。報道で被災者の現状を目にしながら「まだ苦しんでいる人がいる。こうして自分が生きている意味を常に考え、胸に秘めておきたい」と前を向いた。

 震災からの5年、自らもプレーできる喜びを身を持って感じてきた。高2の11年にU-17W杯8強も、高3の12年は膝軟骨の病気で満足に公式戦に出られなかった。トップ昇格後も13年11月に左膝、14年8月に右膝、昨季7月は右膝靱帯(じんたい)負傷と繰り返し、その度に翌年の開幕戦絶望という悪夢の診断を下されてきた。どん底に落とされながらたどりついた4年目で初の本拠開幕戦。「持てる力を全て出し、観客を喜ばせたい」と意気込んだ。

 「今季は一番サッカーができる充実感がある。やっていて楽しいし、ケガを乗り越え精神的に強くなったとプラスにとらえている」。つらい経験を力に変え、チームを9年ぶりホーム開幕勝利に導く。【永野高輔】